空想の産物でしょうか
★★☆☆☆
広重のファンですので、この魅力的な書名と副題につられて本書を手に取りましたが、中身を読みすすめる内に本書の狙いと読者の思いとのずれが大きくなっていきました。筆者は「ダビンチ・コード」を意識して、浮世絵の制作の裏に潜む謎解きをしたつもりでしょうが、論理性はなく、思いつきをこじつけ、むりやり自分の構想に図柄と史実とを合致させようとするあまり、論理がどんどんと荒唐無稽に発展してしまいました。感覚的であり、非論理的な記述が続いています。
江戸時代の浮世絵の中でも特に有名であり、洋の東西を問わず高い評価を得ている広重の東海道五十三次の作品が口絵にカラーで掲載されています。そこから東海道五十三の宿場と風水思想、特に龍脈のエネルギーに着目したところは面白い視点だったと思います。
広重が名前の図案化から四にこだわった、というあたりまではなんとかその考察についていけましたが、1枚目の「日本橋」を広重が生まれた1797年として以下4年サイクルで絵と暦を連動させ、順次4年ごとの歴史事項と宿場の図柄を対比させて意味付けをし、ラストの大津を2009年、京都を2013年にあて、それぞれの歴史的事象を広重が予言したのが「東海道五十三次」だったというあたりは、ノストラダムスもびっくりするような解釈が展開してありました。絵から読み解くという姿勢の大切さとは別次元の展開が続きます。
絵に隠された意図を潜ませたことがあるのは広重好きとしても理解しています。図案の裏に潜む不思議なモティーフの解釈も知識が必要なのは理解していますが、筆者の空想の産物を教えてもらう必要はありませんので。
酷い妄想本
★☆☆☆☆
広重画中の特徴と気象現象や災害、社会現象に無理やりこじ付け。科学的な検証の微塵もなく客観性もない。こんな本を出版している書店は常識の観点から読者の信頼を失うでしょうね。
トンデモ本、だが、ネタが笑えなくて、疲れる
★☆☆☆☆
「ダヴィンチ・コード」便乗のトンデモ本。
著者によると、広重は道教思想に通暁しており、五十三次の絵は広重誕生の1797年から4年ごとに数えた、2013年までの出来事を予言しているという。が、その予言が強引なコジツケで、しかも笑えない。ちなみに、この著者は子供の頃から「東海道五十三次」が大好きで、小学生のころは広重の絵を模写して部屋中にはりめぐらせていた。そして、この本を書くことは、知り合いの占い師に予言されていたという。
おまけに、シャーリー・マクレーンのの師であるケビン・ライアーソンにチャネリング・カウンセリングを受けたところ、著者の守護霊は広重だといわれたというのだから・・すごい!。