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ツタンカーメン発掘記〈上〉 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,296
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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ファラオはワインも飲んでた ★★★★☆
下巻はいよいよ、奥の王の棺を開き黄金の棺の黄金マスクを見いだす場面です。
変質してアスファルトのようになった香油で内側の黄金の棺が外側の棺にくっついてしまっているのを、熱を加えてむりにはがすところは、ちょっとどうかと思いました。1920年代の発掘ですから、しょうがないのかもしれませんが、無理して現地で剥がす必要があったのかとも思います。
第2部第6章末で驚いたのは、多くの王のミイラが現在まで保存された原因の一つが、早期に墓盗人に入られて、事後処理をした忠実な神官たちによって、他の場所へ移されたためらしいことです。香油の酸化に伴う化学作用を免れたのがミイラ保存に一役買ったらしいというのは初耳でした。

第3部第3章、かなり乱れた副室の調査で、上から順順にとっていかなければいけないと苦労する場面、その一場一場を写真にとる学者的態度には感心しました。
第3部第4章で、ワインの瓶が3ダース以上あったということ、王領産ワインまであったということは新鮮に感じました。古代エジプトというとビールを主としたと思いこんでいたからです。

王家の谷というと乾燥しきった荒野という印象です。この墓の一部がキノコが生えるほど湿ることがあったとは意外でした。第3部第5章によると、別の王墓の手抜き工事と岩塊の亀裂が原因のようですが、なんとも不思議な偶然を感じます。

個々の宝物については、それほどきれいな写真がのっているわけでもないので、現在豊富にカラーで出版されているカイロ美術館の図録などを参照したほうがいいと思います。
この発掘ではメトロポリタン美術館のスタッフが撮影に協力しています。近年の功名争いばかりやっているようなメトロポリタン美術館とは全く違った度量を感じました。この実績が後年のデンデラ神殿買収を成功させているのでしょう。
発掘者の記録 ★★★★☆
ツタンカーメン墓の発掘をしたハワード=カーター自身による本であり、
発掘と同時進行で書かれたものです。その臨場感は比類無く、第一次資料といってもいいものでしょう。孫引きの本には求めえない要素に満ちた本の翻訳には感謝したいと思います。

文庫で、従来省略されていたカーナボン卿の姉の筆になる「故ロード=カーナボンの伝記的な素描」が追加されましたこの(上)に入っています。これが面白い。坂田靖子の漫画を思わせるような「変わった英国人」の肖像であり、いままで翻訳されなかったのが不思議なくらいです。最後に詩がついているのもいかにもイギリス的です。

第1章「王と王妃」の末にツタンカーメンの未亡人の計略がヒッタイトの都(トルコ中央部)からでた文書をもとに紹介されています。未亡人は、ヒッタイト王の王子と結婚しエジプト王位を提供しようと手紙を送りました。この計略は失敗したらしく、重臣アイが次のエジプト王となったようです。ツタンカーメン逝去直後に起こったこの陰謀はとても想像力をかきたてるものがあります。このエピソードで「碑板」と翻訳されている言葉は「粘土板」と訳したほうがいいでしょう。概して達意の訳で読み易い文章で、ありがたいのですが、ときどき不適切な訳語があります。

私はツタンカーメンの墓は「盗掘されていない」と思っていたのですが、この本を読むと、埋葬後あまり経たない時代に2度侵入されていますが、ひどく盗まれたれたわけではない、というところのようです。少なくとも奥の部屋は無事だったようです。その後厳重に封印され、偶然そのうえに作業小屋などが建てられたためか、3000年以上乱されなかったということらしい。したがって手前の2部屋はかなり乱されています。