目から鱗。でも納得!
★★★★★
非常に明快で、分かりやすい。
「自己」という存在は、近代(19世紀)的な価値観であれば、<確立された自我>という概念と結びついて語られていた。
著者は、寧ろ「自己」を、人と人とのあいだにあるものとして、または、危うさ・もろさ・儚さ といった概念にひきつけて捉えており、この観点から「肖像」を初めとする絵画・美術の、新しい見方を提供している。
第6章「芸術の自己免疫化を超えて」は、近代文明論としても(社会科学としても)出色の論文だろう。
目から鱗。でも納得! 実に面白い快著。