猫好き、または絵画好きで猫好きのお友だちへのプレゼントにもなりそうな一冊です。
逆さまの帽子の中に入って空に浮かんでいるマグリットの「猫」とか、
人間たちが去った後の深夜のレストランのテーブルの上に乗ったエドワード・
ホッパーの「猫」とか、アルルの家の中を占領しているゴッホの「猫」とか、
弱冠の違和感があるとはいえ、見ていて愉しいミャア画(名画?)です。
残念なのは、絵が頁の見開きにまたがって置かれていたりするので、見づらく
なってしまったところです。本のサイズをもう少し横長にするとか、一頁に絵
がうまく収まるようにして欲しかったにゃ。
カバーの表紙にとられた絵は、モンドリアンの絵をキッチンの床と勘違いして
入り込み、ぺたぺた足跡を記したところをキャッツ(キャッチ?)された「猫」
です。筆者が絵の中の「猫」に、「あちゃあ。真っ白に磨いた床がこれじゃあ
台無しだ。絵画侵入罪で現行犯逮捕だ」と言うと、「だって、白があんまり
さびしい気がしたからね。こうしたほうが芸術的かなと、吾輩、考えたわけ」
などとネコント(寝言?)を言うてましたが。
「猫」版・パロディー画集の試み。北斎や広重、写楽などの日本画でやっても
面白いんじゃないかな。北斎の有名な富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」の絵
(前景に波濤と舟、後景遠くに富士山が見える絵)なんかだと、「猫」は
どこいら辺にしのびこむのかな? にゃーんて(なーんて)、あれこれ
思い描いてみるのも愉しいです。
私はマグリットが好きなのですが、この本のタイトルを知らずに見たら「あら、こんな作品もあったのね」と思うほどのリアルさです。
もっとサイズが大きければ…カレンダーもあったらいいのに…せめてハガキぐらい出してくれても…などなど、この本を愛するが故の要求は尽きませんが、これぐらいのサイズでこっそり見て楽しむというのも いいのかも知れません。