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イメージを読む (ちくま学芸文庫)

価格: ¥950
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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とてもよくわかる! ★★★★★
 「マニエリスム」についての解説が秀逸である。いまやごく一般的に使われだしたこの言葉の本来の意義を我々素人にもわかるように解説している。もともと大学等の講義録をまとめたものであるだけに文章がとてもこなれていて、私にとっては非常に読みやすく理解しやすいものであった。
 「システィナ礼拝堂の天井画」「モナ・リザ」「メレンコリアT」「テンペスタ」の4作品について、その作品が意味するところを解説する書物であるが、いかんせんこの文庫本は、モノクロ写真を使っているので、本文で述べられている画面の色彩等を正確にフォローすることは不可能である。とはいっても、世はインターネット時代。画集を持っていなくても「ウィキペディア」等でカラーの画像を確認することはできる。若桑はこの4作品について、古今東西の碩学の解説を披露した後で、著者独自の見解を述べている。自他共に認めているらしいが過激ともいえる発言もあってなかなかのものである。
 最終章の「絵画が意味を持っている時代は過ぎ去った」とでも受け取れる発言は、情報発信の手段が種々様々な媒体に置き換わってしまった現代には仕方のないことかもしれない。オリジナル版は1992年に出版されたそうだが、若桑本人が言っているように「年月がたっている割には、内容的には古くなっていない。」とまで言い切る自信満々のこの女史のご高説、ゴリッパ。
イコノロジーの普及度 ★★★★☆
「イメージを読む美術史入門」は著者の最初の啓蒙書、「絵画を読むイコノロジー入門」はそのすぐ後に書かれた啓蒙書で、先を初級用、後を中級用と言っていますが、その二つを比較してみると、前者がより思想的であり、後者は個々の作品の解釈に重点がおかれているようです。
 この書物は文庫化にあたって元の書物をいくらか改訂しています。改訂は読者にたとえこれが啓蒙書でもあって何らかの指示があるとうれしい。新たな解釈が出るたびにときには改訂をせまられるという事情が「歴史としての」美術史にはあるからです。日本の書物は改訂を拒否するのが慣例(当時の著者の立場を思い出にしたいという学問的脆弱性(甘え)がその理由)となっているから、逆に改訂したことを書いて欲しかった。
 レオナルドとミケランジェロとの対決の場面。レオナルドはミラノに「晩餐」書いたあと、ミラノのフランス占領で、新たな手法(彼を特色づける有名な輪郭線のない明暗によるグラデーション手法キアロスクーロ手法)をたずさえてフィレンツェに戻ってくる。大英博物館にある「聖アンナと聖母子」というカルトン、ただの紙に書かれたデッサン。大反響をよび、ミケランジェロもラッファエッロもこの絵を見にきています。これは彼の「絵画論」(ダ・ヴィンチの手記)に示されている最初の例示です。物体を知覚するのは光と網膜の現象によるというリアリズムは、バロックから印象派まで絵画の主流となります。
 それに対してミケランジェロは「岩窟の聖母」に類似の聖母子、「ドーニ家の聖家族」を描く。この絵は色彩もあざやか、輪郭もくっきり、鮮明で影がない。マリアの着物は慈悲の赤、ヨセフは信仰の青。彼はこの絵で視覚の現象を描くものではなく、思想の表現の手段と考えて、レオナルドに対抗する。
 マリアは裸足で大地に座り、大地の娘であり、イエスはマリアよりも高所から与えられたことを暗示。ドミニコ会の考えで、マリアを、イエスをみごもったときだけ純潔だとする。
 絵画は芸術家の理論の実践の場であり、思想の表現の場でもあり、闘争の場でもあった。思想をことばではなく、作品で示す思想家のことを芸術家だと若桑はいう。
 ここには彼女の美術史家としての立場がよく示されています。
もう少し沢山の作品を扱ってほしい ★★★☆☆
入門書として買いました。目次に数点の絵画が1章にごとに解説されているのは分かるのですが、初心者向けに他の作品に派生させて書いてほしかった。

同時期に高階秀爾さん、森洋子さんの書かれた入門書も買い読みやすくアッというまに読み終えましたが、この著者の日本語表現は他の方も書かれているとおり文章が読みにくかったです。スラスラ読める文章ではない!と覚悟して買うべし!

図像学の入門書 ★★★☆☆
西洋絵画の図像学の入門書。取り上げられた作品について深く知りたい人向けの本です。
西洋絵画の流れを知りたい人向けの本ではありません。

扱っている作品は、第1章で目次にも出ているミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画と関連して同じ礼拝堂の「最後の審判」。
第2章はレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」「最後の晩餐」「岩窟の聖母」。
第3章はデューラーの「メレンコリアI」
第4章はジョルジョーネの「テンペスタ(嵐)」

第1章~第3章は著者の豊富な知識から、書かれている物の意味、同時代の画家との比較などで構成され、特にダ・ヴィンチの作品では多くのページが割かれている。
第4章は著者の意見と言うよりは、過去の研究者の多くの解釈を紹介し最後に自分の信じる解釈を披露している。

星3つにしたのは、デューターの版画の図版が同価格の他の本より解像度が劣ることと、この著者に他の作品にも共通して言える事ですが、高階秀爾さん等同世代の美術史家に比べ、入門書であるにもかかわらず、文章(日本語)が判りにくいからです。