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中東の誕生―切手で読み解く中東・イスラム世界

価格: ¥1,048
カテゴリ: 単行本
ブランド: 竹内書店新社
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切手を使った歴史絵巻 ★★★★★
 切手という具体的なモノから歴史を語るというスタイルは、ともすると、無味乾燥になりがちな歴史の記述を我々にも身近なモノとして親しみを持たせてくれます。内藤さんの本については、「切手を挿絵として使っているだけ」とか「あえて切手を使う必然性がない」といった批判もあるようですが、私に言わせれば、そうした批判は的外れです。これだけバラエティに富んだ切手が掲載されており、それが、それぞれの時代状況を反映したものであることを示しているだけでも、十分に読む(見る)価値があると思います。切手を使った歴史絵巻としては、よくできたものとして評価したいと思います。

 なお、切手を抜きにしても、文章が平明でわかりやすく、とても好感が持てます。特に、アラブ土侯国(現・UAE)のように、そもそも日本語の概説書さえろくにないような国についての情報はとても貴重だと思いました。

敢えて切手を持ち出す必然性を ★★☆☆☆
著者は「ポスタル・メディアという視点から国家や社会、時代や地域のあり方を再構成する」という「郵便学」を提唱している。
ただし、本書では今ひとつ著書の意図は達成されていないように見受けられる。
最大の理由は半分以上の章において著述が概説的であり、敢えて切手を持ち出してくる必然性が見いだせないことである。

第3章「ヒジャーズと郵便」はヒジャーズ地方の郵政の主体となる政権を追跡することによってヒジャーズの混乱を描き出している。
第6章「革命イランの「世界」像」では切手に描かれるテーマからイラン政府の対外・対内宣伝制作の一端を浮かび上がらせている。この2章においては著者の称す郵便学の企図が一定成功している。

もっとテーマを絞って細密に記述を進めた方がより面白い作品に仕上がったのでは・・・と感じざるを得ない。
着眼点はよいと思うので次回に期待である。