なお、切手を抜きにしても、文章が平明でわかりやすく、とても好感が持てます。特に、アラブ土侯国(現・UAE)のように、そもそも日本語の概説書さえろくにないような国についての情報はとても貴重だと思いました。
第3章「ヒジャーズと郵便」はヒジャーズ地方の郵政の主体となる政権を追跡することによってヒジャーズの混乱を描き出している。
第6章「革命イランの「世界」像」では切手に描かれるテーマからイラン政府の対外・対内宣伝制作の一端を浮かび上がらせている。この2章においては著者の称す郵便学の企図が一定成功している。
もっとテーマを絞って細密に記述を進めた方がより面白い作品に仕上がったのでは・・・と感じざるを得ない。
着眼点はよいと思うので次回に期待である。