まずは、アメリカにメッセージ性の強いキャンペーンバッジ（カンバッジ）が数多くあること、そのコレクターがいることに驚いた。日本にどの位のコレクターがいて、どの様に入手しているのかと興味がわいてきた。少なくとも筆者はカンバッジの日本有数のコレクターである。この本では歴代のアメリカ大統領のカンバッジを紹介しながら、その当時の社会、政治状況を解説している。ユニークな年代記であるが、筆者の豊富な知識に基づく無駄のないコメントから、充分にアメリカの歴史を振る返ることが出来る。各章の終わりにそれぞれの大統領のアイテムの紹介や評価が小さく載せられている。コレクターにはたまらない心憎い演出である。新書としては値段が少し高いと思う方もいるかもしれないが、400点に及ぶアイテムがカラーで収録されており、内容も申し分ないのでそれだけの価値がある本である。筆者は漫画家、イラストレーターであるが、今後は他の分野での活躍を期待させる一冊である。