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黒いトランク 鬼貫警部事件簿―鮎川哲也コレクション (光文社文庫)

価格: ¥799
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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微妙かな ★★★☆☆
名作の復刻版ということで、話は1949年が舞台のミステリーです。かなりトリックが複雑で、よく考えながら読まないとわからない話です。面白かったかというと、実は微妙です。
むむむ、スゴイです。 ★★★★★
初めてこの作品を読みましたが、一つの事件の推理の過程をここまで徹底して書いてる作品って、そうそう無いと思います。けして派手な舞台設定ではないし、天才的な探偵が登場するわけでもないので、一見地味な印象を受けるかもしれませんが、甘く見てかかると大変な目に遭います。読み進めば読み進むほど、事件のデータが揃えば揃うほど、この小説の本当の底力が読者のみなさんの頭をぎゅうぎゅうと締め付けてくる音が聞こえてくるでしょう。(笑)オススメです!
読み比べ ★★★★★
ほぼ同じ時期に、光文社文庫と創元推理文庫とで出た『黒いトランク』。角川文庫版がズーッと手に入りにくい状態だったので、ファンとしてはよろこばしいかぎり。

創元推理文庫版のほうは、著者の手で何度も加筆・訂正されて、いくつもの版のある中から良いところ取りをしてまとめられた決定版とのこと。一方、この光文社文庫のほうは、一番はじめに発表された形のままなのだそうです。

読み比べてみると、トリックや犯人など重要な部分は同じ。違っているのは、地名(創元推理文庫のほうは実際にある地名(若松、二島など)で、光文社のほうは若松→赤松、二島→札島などと変えてある)、人名(毛塚と手塚など)ぐらいの些細なところ。ほかには、光文社文庫のほうをもとにして、削られたり加えられたりした個所が創元推理文庫にあるくらい。どちらもよくできた緻密なミステリです(あたりまえですね)。ただ一カ所、創元推理文庫では削られていた最後の一行、これがとても切なく感慨深い。男の哀愁を感じます。
ほとんど違いのない同じ作品で好き嫌いを決めるのもおかしなことですが、この一行があることで、私は光文社文庫版のほうが好きですね。