物語が湧き出す「現場」へ
★★★★☆
当初は、古今のミステリの舞台となった「現場」を
探訪するというコンセプトで立ち上げられた本エッセイ。
しかし、回を重ねていくうちに著者の意識が微妙に変化していきます。
物語が湧き出す源を訪ねたい―。
すなわち、本エッセイの主旨は、
作家が〈創作という犯行を行なった現場〉を巡っていく、というところにあるのです。
我々に甘美な幻想と詩情をもたらす「現場」の
魔力を、著者は抒情的な筆致で綴っていきます。
犯行現場に行ってみたい…
★★★★☆
名所や知られざる穴場(!?)が掲載されていて行ってみたくなりました。
写真がすべてモノクロなのでミステリの雰囲気が出ていて…さらに旅をしたくなる…。
桜の写真がカラーで載っていたら単に美しい写真ですが、モノクロで桜の写真が掲載されているのでミステリとして成立しています。
写真の量も多くてその場の雰囲気が十分に伝わってくると思います。
書き下ろしの短編小説が結構面白かったです。
短いながら楽しさが詰まっていました。
殺人をするには
★★★★☆
2002年にメディアファクトリーから出た単行本の文庫化。一章、書き加えられている。
雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載された紀行エッセイ。軍艦島、鳥取砂丘、明石大橋など、これまでミステリの舞台となってきた著名な場所を訪れ、文章と写真で構成している。小説も4篇、収められている。
有名な場所を訪れた! という有栖川氏のわくわくが伝わってきて、楽しい一冊だった。どの場所も確かに犯行現場にふさわしい雰囲気を漂わせており、そこで傑作が生まれたことにも納得がいく。
ただし、そういった雰囲気を味わった上で創作された4篇の小説は、どれも面白くないのが不思議。
ミステリーへの愛
★★★★★
ミステリーっぽい場所をいろいろと回った旅行記。基本的に旅行エッセイで、いくつか、エッセイの代わりに短編小説が入ってくる。登場する場所への行き方と、その場所を舞台にした推理小説のリストも、簡単ながらも、載っているので、それなりに便利でもある。
この本の魅力は、作者のミステリーへの愛が、あふれているところである。特に乱歩や正史ゆかりの地に行ったときの、作者の楽しそうな文章は、読んでいる、こちらの頬も緩んでくる。推理小説が好きで好きでたまらなくて、推理小説作家となって一線に立っている作者は、ほんとに幸せものだ。
Let's 現場検証
★★★★☆
ミステリファンなら、一度は「現場検証」に立ち会ってみたい、と思ったことがあるはず。
それをかなえてくれるような作品です。
実際にミステリの作品中で使われた「犯行現場」や推理作家から見て、こういうところを「犯行現場」に使いたい、という場所をエッセイや短編で紹介しています。
ぜひ、「現場検証」に立ち会いましょう!