これで1500円は安い
★★★★★
写真だけでなく解説も分かりやすく、初心者でも丹下健三のすごさが伝わる良書。
丹下の特異性は都市デザインに取り組んだことと異文化への理解が深いことだと思う。本書でも東京計画1960や聖地ムナ計画など実現しなかった物を含めた都市設計を強調している。実現したフジテレビ本社ビルやカテドラル聖マリア大聖堂にもこれらの思想が生かされており、だからこそ国内外の評価も高かった。
特に国立代々木競技場や広島ピースセンターなど往年の名建築は詳しい解説を加え、現在的な目では分かりにくい当時の革新性を訴えている。ポストモダンから現代建築まで、日本の近現代建築を知る上で外せない知識が満載だ。