これは自伝です。といっても、主役は戦前に渡米した彼のおじいさん。おじいさんから彼までの家族史を軸に、おじいさんや彼のふるさと(日本とアメリカ)に対する思いがぼくとつに語られています。
おじいさんの経験や気持ちが、こんなにも大きく孫に影響を与えていることに、心動かされました。おじいさんがこの本を読んだら、胸が熱くなるだろうなあ、と思うと共に、自分も遠い未来に孫をもったら、孫は私の人生をどうみるんだろうか、なんて思いをはせました。
Allen Sayの絵本の魅力は、その美しく現実感のある絵に加えて、児童書らしくないテーマ設定にあると思います。ふるさとへの思いや世代を渡って受け継がれる気持ち、そんな微妙で説明しづらいテーマを子供たちに伝えたい、という願いが伝わってきます。
英文はとても短く、各ページに1、2行。辞書をひきひき、学校で英語を習っているだけの中学生でも、なんとなく意味は分かりそうです。こんなにシンプルな文章で、こんなに繊細な思いが読者に伝わってくるなんて、びっくりです!