読みやすい入門書
★★★★★
神経心理学という題目で書かれた本である。しかしながら、心理学的側面から書かれた記述はほとんど無く(例えばウェーバーの法則、ゲシュタルト認知などの精神心理学、生体の成長と認知理論や条件付けなどを扱った学習心理学など・・・)、内容はごく一般に見られる「脳神経科学」の教科書となっている。
とはいえ、基礎的な知識に関しての章は、脳の構造学的、マクロな観点からの記述が多く、ニューロンレベル、電気生理学的な記載はほとんどないため、脳科学の入門書としてはわかりやすくなっている。
また、脳損傷がどのような所見を呈するか、末梢感覚系の記述、などの記述に加えて、脳のラテラリティ、睡眠、脳工学機器の紹介などについて書かれているのが他書にはない特徴であると思う。
特にラテラリティに関する部分は、筆者の専門分野ということもあり、記述がやや詳しくなっているため、興味深く読むことができるのではないかと思う。
図版も大きく見やすく、入門書としてお勧めの一冊である。