これまで、認知症のケアに関する本は「その人らしさを尊重した関わり」や「日常生活援助に関するもの」などが多く出ていたかと思います。
また、医療の本の多くは脳の病変や認知症を引きこす身体疾患の説明が主でした。

こうした本や記事を読みながらも、自分が働く病院に認知症の人が入院されるとうまく活かすことができませんでした。
病院に入院される認知症の患者さんは、慣れない環境や、点滴やモニター類に囲まれて非常に不安定になります。本人に説明をしても、その時は頷いて聞いてくれますが、夜になると自分で点滴のラインを抜こうとされる方もいます。
いくら脳に病変がといっても、その人らしさを尊重といっても解決がつかず疲労感が先立っていました。

この本では、認知症の進行や置かれている状況ごとに本人や家族にどんな問題が生じやすく、その際の看護の視点が書かれています。認知症の人が入院するとまずは「転倒の予防と点滴を自己抜去しないように」と同じことばかりを考えていましたが、認知症の進行具合に目を向けることの重要性を改めて感じました。
アセスメントスケールや認知機能に影響を及ぼしやすい薬なども表になっているので、慌しい現場に居るものでも読みやすいです。ケアをしながら確認できる記憶・認知のアセスメント項目はケア現場に身を置いている著者ならではのものだと思います。

相変わらず問題は山積みなのですが、著者の言う「認知症の人の鉱脈を掘り当て、磁場を作る看護」を始めたいと思いました(^^)

社会福祉施設で働いている者です。勤続１３年になり、新入社員や後輩に教育をどうしていいのか悩み、いろいろな本を探していたところ、その中にこの本に出会いました。
　看護ということで、私は看護師でないので、ちょっとだけ見ようと手に取りましたが、認知症の各ステージに合わせた詳しい説明があり、熟読してしました。資格的には違いますが、認知症高齢者に関わっていることは同じで、共通することが多々ありました。現在、教材として使わせていただいています。また、著者の堀内さんの分かりやすい書き方が好きで、あなたの家族が病気になったら読む本　認知症も読みました〜〜〜。

認知症を引き起こす様々な病気などの基本的な部分を図や表を使って説明され、現場で役立つアセスメントスケールなども豊富に紹介してくれています。また、認知症の進行段階に合わせて起こる本人と家族の問題を挙げながら、それに対する看護が事例を交えながらわかりやすく書かれています。臨床に身をおくわたしもかしこまらずに読むことが出来ました。
認知症の人の体や心、取り巻く社会についての知識を踏まえ、具体的に看護に結びつけられているように思います。認知症の人の看護に取り組み始めたばかりの人も、今まさに取り組んでいる人にもおすすめの1冊だと思います。