ラジオでのエアプレイを意識してか、ややカールトン色は控え目とはいえ、自分のやりたいことをやった。今作『Sapphire Blue』はそんな印象だ。強力なホーン・セクションをバックにブルースをベースにした、明らかにカールトンらしいサウンド。ノリのいい「Friday Night Shuffle」に始まり、素朴なアコギとハーモニカのデュエット「Take Me Down」まで、純度100%のギター魂。安易にスムース・ジャズに走るようなことはなし。タイトル曲を一聴すればすぐに不安は吹っ飛ぶ。カールトンの最初のソロのいい所でドラムのビリー・キルソン(デイブ・ホーランド・バンド)が最高な気分ではじける。アルバム全体を通して、カールトンの脂の乗り切ったプレイは素晴らしく、クルセイダーズ時代の傑作に匹敵するレベル。まさに新しい世代のギタリストの教科書とも言うべき内容だ。今度こそ彼らが道を誤らないことを願う。(Michael Ross, Amazon.com)