子供のメール被害予防としては良書 娘をもつ父親は読むべき
★★☆☆☆
うつ病の波の谷に落ちて、空腹感はあるのに全く食欲がなくなり、拒食≒自傷行為かも?という発想から購入しましたが、多数の自傷ラーとの交流経験に基づく著者の主張は、軽症うつ病発症1年で働き続けている48歳の会社員に対してはあまり共鳴するものはありませんでした。
他の方の評価が軒並み高かったことと、「〜ネット心中と精神科医」というサブタイトルにひかれて購入しましたが、現在の日本の精神科医療についての掘り下げはほとんどありません。
著者自身があとがきに書いているとおり、「僕の本はどれも読者の読解力が問われる」のでしょう。この本の直前に読んだ矢貫隆の「自殺−生き残りの証言」の方がはるかに「読者の読解力」に頼ることなく読み応えのあるものでした。
巻末に収録された信田さよ子氏との対談は面白かったので星二つとします。
読解力のある方にはお勧めかもしれませんが、うつ病で思考力の落ちている方にはお勧めできません。しかし著者が主張するように「カラダ系」の運動療法を実践出来ればうつ病も回復するかもしれません。でもそれが出来ないのがうつ病なんですよね。この様に書くとそれこそ著者から精神科医に薬漬けにされていると反論されそうですが。
メールに基づく子供の犯罪被害を抑止するためには大変良い書だと思います。そのようなタイトルであれば星五つの価値はあります。
インターネット自殺
★★★★☆
あの日の夜はその女の人とチャットしてた。
あの若い子人がしんじゃう数時間前くらい。他人は結局せっとくしてい。
たけど死んだ。その少しあとでその女の人もネット自殺した。面倒見ていた若い子が
未成年だったから、あの女の人は未成年は募集しないっていった。
いつでも死ねるし生きててもいいけどね。
未成年はまだ自分できめたらいけないきがするんだ。
成長してから自分の責任とか一応確認してから決めようと思う。
成人っていうのは人に成るんだと思うから。人になる以前なのに自殺はできないなぁ。
それできめてもいいかなとおもう。
こういうスタンスの人は今の日本に彼だけだ
★★★★★
「自傷」と言う行為を、その行動者を、治療者の立場からでもなく、巻き込まれている家族の立場からでもなく、ネタに一儲けしようとする(または決まりきった答えを得ようとする)ルポライターの立場からでもなく、著者は知人・友達・ちょっとした知り合いと言うスタンスまで近づき見て語る。
自傷する人たちやネット心中に走る人たちと共に語り、格好悪かった頃の自分を曝し、自分自身の体験を探る中で「ココロ系」から「カラダ系」へのバラダイムシフトが『自分を嫌い続ける苦しさ』からの唯一の脱出口なのだと著者は位置付ける。
ネット心中の心理的構造、自傷の現状と根底、精神科医(一部の心ない医師たちの立場であって欲しいと願うが)たちの実情など、本書以外では全く目にする事のできない『今の日本にとってかなり大きな問題のホントのところ』満載。
心のプロも、心のプロにならんとする方も、自分や周囲の心の問題で悩んでいる方も、必読間違いない。
精神科や自殺問題について考える
★★★★☆
ネット心中のニュースが新聞に載るたびに理解出来ないと感じていたので、このタイトルに手が伸びたと思う。
その程度の知識から入って1冊読み終わって一番に感じたことは、
大切な人を自殺という形で別れざるをえなかった喪失感の大きさだ。
喪失感だけでなく無力感をもその人を襲うようにも感じた。
故に自殺を望む人たちの意志を尊重はするけれど、その前に見てほしい、考えてほしいことを何度も訴える。
精神科でのクスリの副作用
倦怠感に蝕まれるクスリではなく、カラダを見直す方法。
アタマが一杯一杯になったら、運動することで自律神経にもいいし自信にも繋がる運動をまづする。
子供を持つ親に対しても、プライドに固執しようとすることに嫌悪し、
子供といかに会話することが大切か怒りを混ぜ語る。
内にこもって迷っている人、大切な人が自己嫌悪に縛られている人
そういう人には★が5になるかもしれない
「自殺者」にとって対話可能な大人がいるか
★★★★☆
いくらか自殺関連本を読んできた者から言わせてもらうと本書は異色の作品である。それは著者が自殺既遂もしくは未遂者と真剣に渡り合う意志を持っているからというよりは、自殺者の心理をある程度共有しているからではなかろうか。精神科医や自殺者の近親者といえども自殺者のことが全く理解不能であるため「自殺は逃避にすぎない」「他人に迷惑をかけるから自殺は悪だ」などと何百回も繰り返された決り文句で決着をつける輩があふれかえる中で著者は、自殺者の心理をある程度共有しつつも粘り強く対話の可能性を模索している。そこには自殺者を切り捨てる安易さも、目前の問題のみを切り抜けようとする無関心もない。ゆえに真剣に自殺を欲する者にとって著者は「未だに対話可能な大人」である。一読の価値ある本と言ってよいだろう。