~~本著は高校生に読んでもらいたいと感じる一方で、自分自身がどのように教えれば、ファインマンのように活きた物理を生徒に伝えられるかに関しての指針を与えてくれます。高校生のみならず、教育関係者、それから物理に興味を持っていて、いずれファインマンを読みたいと思っておられるかたに対しても、熟読する値打ちのある好著であると思います。
難点は~~、あえて数式が省略してある部分がある点です。たしかに初学者にとっては、「数式の大群」というものが、書物を読む上において敬遠する要因になるという理由もありますが、原著のように、必要な箇所では数式による記述をおしまないというほうが、かえって理解を助けるものではないかと思われます。もちろん、(誤解を招かない範囲で)イメージの図が添えてあ~~れば、数式を理解する一助になります。
吉田武さんのベストセラー『オイラーの贈物』では、数式に番号を附けず、必要があれば同じ数式が何度も記載されています。何度も出てくる数式というものはそれだけ重要な意味を有しており、例えば(2-11式)というように書いてあって、後でページを遡らなければ数式を読み返せないようでは、学習の妨げになります。この~~あたりは、ページ数を増やして大部にしたくないという出版社側の意図もあるのでしょうが、たとえページ数が増えようとも、必要な数式や概念図は何度も記載して、「前のページを読み返す必要がない」ようになっていれば星5つという感想です。~