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良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 日本経済新聞社
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良いんだけど・・・ ★★★★☆
良い経済学=リカード比較生産費説(ミクロ経済学)
      ISバランス論(マクロ経済学)
という、経済学の初歩の初歩(ABCみたいなもの)を押さえているということです。
だから、経済学を知らないで、経済を語ると、「中国脅威論」とか、「貿易黒字はもうけ赤字は損」とか、「貿易黒字があるのに不景気なのはなぜ?」とか、でたらめなことを語ってしまう=悪い経済学ということになります。(日本のエコノミストと呼ばれる人たちで、経済学部出身じゃない人は、トンデモ本を書いて、平気ですから)
経済学を知っている人からみると、「常識」を語っている本です。知らない人にはちんぷんかんぷんでしょう。

ただ・・・クルーグマンは最近、「90年代の私の考えは間違っていた」と宣言しています(イギリス紙から批判されています)。というのは、グローバル化の影響について、あまりに複雑で、数値による検証ができないからです。多国籍企業は企業内に国家を抱えており、その中で貿易しています。アメリカの貿易赤字の25%は多国籍企業内貿易によるものです。だから、「国家と国家の貿易」について、今の時代、複雑すぎて数値化できないというのが、クルーグマンの主張です。
2008年ノーベル経済学賞受賞!という帯につられて買いました ★★★★☆
「決定的な点は、限られた市場をめぐる企業間の競争とは違って、貿易がゼロサムゲームではなく、ひとつの国の利益がほかの国の損失になるわけではないことだ」「国際競争によって国が存続できなくなることはない」「貿易相手国より生産性が明らかに劣っている国でも、貿易によって通常、打撃を受けるのではなく、恩恵を受けることになる」

2008年ノーベル経済学賞受賞!という帯につられて買ってみた。予想よりちょっと古い内容の本だった。インターネットは出てこないし、ソ連が出てくるし、クリントン政権だし、Euroの誕生はまだ疑問視されているし、中国は成長を始めて間もないし、インドはほとんど無視されているし、資源や食料の高騰や、地球温暖化も出てきません。

ただ、古いがゆえに、その後の歴史を照らし合わせて読めば、著者の見識が果たして正しいものだったかの検証と確認を行いながら読めるという利点がある。そして、その答えは、おおむねYesである。

例えば、一国の成長が生産性の向上による発展なのかそれとも単に投入量の増加によるものかの見極めが大切であり、その立場から分析すると、当時脚光を浴びていたメキシコ経済の成長は、単に投入量の増加によるものでしかなく、成長する筈だという前払いを受けているだけだからブームは終わる、という指摘は鋭い。実際、その通りになり、その後メキシコ経済は長期低迷に入っている。また、日本脅威論や、旧共産主義国への脅威論に対する当時の分析も、おおむね正しい結果になっているように、私には読める。

レスタ・サローらの並み居る超一流の学者達を敵に回して、経済学の基本から離れることなく徹底的に反論を行い、自由貿易と経済の関係の本当の姿を力強く解説する。絶対優位と相対優位の考えなど、特に自由貿易の経済原理の解説はわかりやすく、時代を超えて一読する価値がある。

ただ、内容は素晴しいけれども、やっぱり本書では扱っている世界が昔すぎて、多少隔世の感があり、かなり控えめにいってもちょっと古い。このため、どなたにも薦められるという本ではないかもしれない。
国際経済学版「ダメな議論」を斬る! ★★★★☆
 「貿易を通じて国と国とは競争している」等一般に流布しているダメな俗説を、当代一流の国際経済学者が真っ当な経済学の知識をもって論破してゆきます。と言っても専門家にしか理解できない数式などは一切出てこないのがミソ。ダメな論者のデータ処理の拙さを指摘したり、至極簡単な比率計算による影響分析で米国内の実質賃金の減少に貿易がほとんど寄与してないことを実証したり、学部生が1時間目に習うような恒等式でもって貿易収支黒字と資本流入が共存することはあり得ないことを述べたり。今年好評だった「ダメな議論」(飯田泰之著・ちくま新書)で述べられた「ダメな議論」の見分け方を彷彿させるような論の運び方は見事です。
 
 本書の内容は'90年代前半を対象としており少し古いですが、最近の中国の経済成長に刺激された脊髄反射的な「中国脅威論」を退けるには、本書のロジックは残念なことにまだまだ必要なのです。
クルーグマンのトンデモ経済学説批判本 ★★★★★
クルーグマンの手による<元祖>トンデモ経済学説批判本。色々な所で蔓延っている戦略的通商論やマクロでの国際競争力市場論の誤謬を徹底的に批判しています。しかも、主張の内容は比較優位のよる貿易の経済的なメリットと貿易による国内経済への影響力が過大評価されていることの2点に集約されているので、論文が非常に高度な内容にもかかわらず分りやすく読めます。

貿易の経済的意味に関する一般向け解説集。良書。 ★★★★★
著名な経済学者クルーグマンによる一般向けの解説を集めた本。一昔前のアメリカ(現在や日本においても似たようなものだろう)に跋扈していた無責任な主張、中でもとくに貿易に関する間違った認識と煽動を批判し、何故間違っているか、そのような間違いが何故危険かを非常にわかり易く述べている。一言で言うと貿易はプラスサムゲームというだけなのだが、その説明が明快であり、間違いが何故広まるかに関する説明もあるので読んでいて気持ちが良い。ニュースキャスターやエコノミストに「これ読んで勉強しろ。君にはちょっと難しいかもしれないけどね。」と言ってプレゼントしたい本である。

「寄せ集め」の体裁をとっているために、丁寧に書き下ろされたまともな本や丁寧に加筆修正された本と比べると読みにくいところもあるんだけど、そのあたりは許容範囲と言えるでしょう。不勉強な評者にとっては貿易に関する説明の仕方と旧ソ連とアジア新興工業国のある面における類似性の指摘が目から鱗の落ちるものでした。