「『買春はダメ!』と言っているだけでは、買売春を社会構造の中に深く取り込んでいる現実を変えることはできない、と思うようになった」のは結構なのですが、そもそもなぜ買春はダメだと思っているのかがぜんぜん書かれておらず、どういう問題意識にもとづく本なのか、いったいどういう社会を目指しているのかが不明確です。
問題意識が曖昧だから、取材や考察も一貫して問題の表面をなぞっているだけ。そもそも、ビックリマークを多用すること自体が文章そのものの力のなさを表しています。やるならもう少しちゃんとやってほしい。同じ著者の『多発する少女買春』を読むと、ますますそう感じます。