アジアのタイを中心に本書は展開されていますが、そうしたアジア経済の歴史は、かつての日本経済の歴史と重なります。
しかも本書のよい所は、同時になぜ日本が停滞したのか?の疑問にも東アジアの例をとって見事答えてくれるからです。
経済発展はどの様に始まるのか、日本はアジアでどの様な位置にいるのか、日本が経済大国へ進むためにとった方法とは?
さらに、グローバリゼーションとはどんな影響をもたらすのか?まで
、厚いこの本の中には、これら濃い内容が含まれてます。
決して入門の本ではないので難しい話や語彙も出てきますが、気にせずまず読破してみてください。
尚、この本を読んで経済に興味が沸いた人には、次に「開発経済論」を手にとってみるといいのでないかと思います。
難しくて流し読みした部分が補えると思います。
キャッチアップの終盤においては、当然、次の段階に向けて工業化路線にも変化が求められる。しかし、次のステップをどのように踏み出してよいのかが明確でなかったり、たとえわかっていても変化への対応が柔軟になされていないことに、中国を除く近年のアジア経済の停滞の一因があることが示唆される。
日本を含むアジア経済の将来を展望するとき、単に新産業の育成や個々の企業の成長といったことだけでなく、これまでの「キャッチアップ型」の工業化を背後で支えてきた社会的通念や組織・制度にいたるまで見直しをしつつ、新しい「キャッチアップ型」の工業化を模索していくことが必要であり、その根幹は飽くまでモノ作りにあるというのが著者の主張である。
本書は「キャッチアップ型」というモデルで捉えることでアジアの経済発展の特徴を浮き彫りにしており、概説書からは得られない読みごたえがある。