メキシコのいろいろ
★★★☆☆
著者はヴァイオリニスト。メキシコの人と結婚して移住、現在に至るまでメキシコで音楽啓蒙活動を続けていることで知られる。
本書は、前著『メキシコからの手紙−インディヘナのなかで考えたこと』(岩波新書,1980年)の続編的な本である。しかし、前著がメキシコにおける原住民差別を糾弾したものであったのにたいして、本書はメキシコでの生活や現地の文化のいろいろを紹介するという内容。おとなしくなってしまったという印象で、やや物足りないのは否めない。
コヨアカンとは、メキシコシティ郊外の住宅地。黒沼夫妻が暮らした町である。
取り上げられているのは、メキシコの子どもたちへのヴァイオリン教育、日本への演奏旅行、壁画家ディエゴ・リベラについて、アンドレ・ブルトンのメキシコ訪問など。いずれも興味深いテーマではあるのだが…