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スターリン秘録 (扶桑社文庫)

価格: ¥73
カテゴリ: 文庫
ブランド: 扶桑社
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独裁者スターリンを正しく評定する ★★★★★
 本文庫シリーズにとっては珍しい独裁者スターリンの本格的な評伝。全体は三部構成で、戦中の第一部、戦後の第二部、戦前の第三部、と構成上に相前後がある。これは新聞連載であったことからたまたまそうなっただけか、戦中から入って日本との関わりを順に描いた後にスターリン自体の出自を解明する第三部が付け加わったのかもしれない。勿論、政治家スターリン自身、旧ソ連の終戦直前直後の行動に対しては一貫して批判的な書である。
 日本でもヒトラーとスターリンを対で並行して描いたものが幾つか話題になったが、スターリンに拘れば拘るほど、それだけでは不十分であるような気がしてくるし、これはヒトラーについてもそうである。ヒトラーが居なければスターリンは回避できたのか、居なかったのか、となればそんなことはないだろう。なぜ、史上最大の大殺戮魔が前世紀、二十世紀のこの二人でなければならなかったのか、それは技術や経済の発展段階がたまたまそうで、彼らの個性がたまたま組み合わさっただけだ、ということでは済まされないものであるかもしれない。
 これは、他方で毛沢東、金日成までを加えれば、如何にソビエト的なものが冷戦以降瓦解して世界を乱している一方で、その圏域がなお中核においては清算されていないことをも示している。中朝の大飢饉や大量虐殺が未だ歴史の事実としてすら隠蔽されているように、シベリヤ抑留や北方領土の問題は強権的に触れられずして、時宜が来れば当然見直されるべきことが見直されていない、本書のように描かれ発信され続けねばならないことなのである。
毛沢東も金日成もポルポトも”師匠”を見習った ★★★★★
スターリンがレーニン死後、権力を掌握したあと、政敵を粛清していく過程が凄まじい。
自室で部下の電話を盗聴している現場を秘書に見られたシーンもさることながら、盗聴システムを構築した通信技術者たちも秘密維持のため処刑。
”大粛清”の執行機関NKVDのトップ、ヤゴーダの仕事が生ぬるいとして解任、エジョフを抜擢してヤゴーダを処刑。しかし忠犬エジョフも疑心にかられ自分の妻まで粛清するなどあまりにも大量の人間を処刑して精神がおかしくなる。今度はベリヤに差し替えてエジョフを処刑、スターリンという人物は良心を持たない、いわゆる無情性気質だったのだろうか。しかしベリヤもやがてスターリン死後処刑されるわけで、共産主義体制が宿命的にもつ非人間性に暗然とする。
スターリンは若い頃、帝政ロシアのスパイだったことがソ連崩壊後の資料公開で明らかになり、彼の並外れた猜疑心も納得がいった。フルシチョフのスターリン批判も実はこれが隠れた理由だったらしい。
寝耳に水だった1941年の独軍侵攻、別荘で独り虚脱状態だったスターリンは、突如自室に押しかけてきたベリヤら党の最高幹部に恐怖、”大粛清”で赤軍幹部をあらかた処刑してしまった責任を問われて自分が逮捕されるのではないかと勘違いしたシーンが強烈だ。
冷徹の恐怖 ★★★★★
 スターリンの粛清は広範囲に及び,チェチェン・イングーシ,ドイツ系など,民族ごと大規模な流刑に付すなどしてきた。それ自体が恐怖だが,スターリンの場合,誰がいつ粛清されるか分からないことが,一番怖い。
 1936年8月,ジノビエフ・カーメネフら16人の大規模公開裁判(第一次モスクワ裁判)が開かれ,ジノビエフとカーメネフは判決翌日(8月25日)銃殺刑に処された。処刑に立ち会ったパウケルは,スターリンの前で,ジノビエフが「お願いだ。同志。スターリンを呼んでくれ」と泣き叫ぶ様子を演じた。スターリンは大笑いをしたが,それは,スターリンがパウケル自身の運命(その後,銃殺)を知っていたからだ,という。

 スターリンは,1941年8月,ソ連兵に捕虜になることを禁じ,その家族を逮捕する旨の最高総司令部指令270号を布告した。
 スターリンの長男ヤコフは,同年7月にドイツ軍の捕虜になっていたが,スターリンは同布告の適用をヤコフにも免ずることはなく,ヤコフの妻は逮捕・投獄,ヤコフの叔父夫婦などを銃殺刑に処した。
 1945年,ジューコフからヤコフの運命をたずねられたスターリンは,「息子は祖国を裏切るより,死を選ぼう」と言い,長い間食事に手をつけようとしなかった,という。

 赤いツァーリ・スターリンの冷酷さがよく分かる一冊。
 これがローマ時代の凶暴な皇帝の所業ではなく,20世紀に現実に起きた事実であることが恐ろしい。
GO, GO! スターリン ★★★★☆
 この本を読んだ上で、スターリンを形容する言葉を羅列するならば、無慈悲、残虐、泥棒、裏切り者、嘘つき、人殺し、強盗、といったところか。

 スターリンはソ連の赤い皇帝だっただけではなく、後続の共産主義国家の「理想の国家元首」として君臨し続けた。そして毛沢東、金日成、ポルポトらは、彼を心から崇拝しただけではなく、同じように悪行の限りを尽くし、自国民さえ殺しまくった。

 殺した人数の多さから、20世紀の三大極悪人を挙げるとすれば、順不同でスターリン、毛沢東、ヒトラーで決まり。しかもスターリンと毛沢東はヒトラーより長生きしている分、殺人スコアははるかにアップした。これにもう一人、人数は先輩たちに及ばないものの、徹底的に殺人を繰り返したスーパースターに、ポルポトを忘れてはいけない。 四人のうち三人が共産主義者。嗚呼、共産主義よ永遠なれ!!
スターリンを知る上で、欠かすことのできない一冊。 ★★★★☆
 スターリンの人間像や、彼の行った恐怖政治。そういったものを知りたいのであれば、本書はかなり参考になるであろう。自分の息子を見殺しにし、身内まで粛清の対象とした彼の冷酷さは、同時代の宿敵アドルフ・ヒトラーに勝るとも劣らないものだ。
 
 彼のスターリニズムはその後毛沢東に継承され、文化大革命やポルポトの自国民大虐殺を生み、今現在に至っても北朝鮮という異常国家の中で根強く生き残っている。

 一番ショックだったのは、この指導者をいまだに礼賛している人々が多いという事実。自分の墓の上にはごみの山が積もるが、歴史の風がそれらを吹き飛ばすだろうという、スターリンの不気味な予言が頭をよぎってしまう。さすがに極端なスターリン主義はもう起こらないだろうが、年を経るにつれ、スターリニズムに対する恐怖や警戒感も薄れてきたというところだろうか。

 極めて冷静で、かつ客観的に書かれている書だけあって、かなり勉強になりました。