今まで軍事政権に苦しむ貧しい国というイメージしかなかったが、この本を読んで、非常に豊かで誇り高い国であったことがわかった。教科書の中でしか知らなかった世界が人々が息づく実在の世界として胸に迫ってきた。マレーに進攻してくる日本兵との戦いの場面がリアルだった。最後にアウン・サン・スーチー氏が自宅前で人々に語りかけるシーンが心に残った。登場人物の一人が彼女こそ唯一偉大な政治家であると語っている言葉が胸にしみる。彼女の現在の悲惨な状況が早く解決してほしい。

ともすれば辛く悲しい難民の物語、もしくは大仰な大河小説になりそうな題材なのに、常に明るくさわやかな感じがするのはとても不思議です。
私にとって近代アジア史は、あまり深く勉強しなかったある意味ブラックホールのようなところですが、ああこういうことだったんだと目が開かれます。

3世代にわたる登場人物たちがそれぞれとても豊かな心を持っていて、あたたかい。それに筆者がその登場人物達や、また権力者に対しても、ある視点から評価を下す（裁く）ことはしない。

文章もわかりやすくて読みやすかったです。