「ローフード（ほとんど加熱せずに調理した食品）のグルメ料理」という言葉に矛盾を感じる人は、この本のレシピの豊かな創造性に驚かされるだろう。ローフード料理の第一人者でロサンゼルス在住のジュリアーノによるそれらのベジタリアンレシピでは、すべての素材が「生きて（調理されていない）」いる。ジュリアーノは、素材のままのフルーツや野菜、ナッツや種子、豆、穀類は、最も栄養価の高い食材だと考えている。そう言われても、アルファルファスプラウトやニンジンのすりおろししか思い浮かばない人は、まな板にしがみついておくとよいだろう。ここで紹介されるジュリアーノのレシピには、バターナットやスカッシュスープ、ニュームーンフルーツシチュー、タイのグリーンパパイヤサラダ、そば粉を天日で乾燥させたピザ生地、マンゴーを使ったエッセンブレッド、サーモンもどきの寿司、生鮮素材を使った春巻き、ブリート7種、ピザ7種、珍しいスムージー9種などがある。デザートには、イージープリン（メープルシロップ、アボカド、キャロブパウダーで作る）か、カシュージェラート（カシューバター、メープルシロップ、アーモンドで作る冷菓）はいかがだろうか。ほかにも、薬味やドレッシング、ソースの作り方から、豆や穀類、種子やナッツを水に浸して発芽させる方法など、ローフード料理を作るための情報がたくさん載っている。

   信じられないかもしれないが、フード・ディハイドレーター（食品乾燥機）でピザやクッキー、パンを「焼く」ことができる。食品乾燥機は温風を吹き出すが、食品を摂氏48度以上に加熱することはない。その温度であれば、「ふつうに調理すると燃えてしまう繊細な栄養素を破壊することがない」とジュリアーノは言っている。『Raw』には、鮮やかな色彩の食物の豪華なカラー写真と、活力に満ちたジュリアーノの写真が多数掲載されている。（Joan Price, Amazon.com）