これは金正日に関する暴露本ではない。
著者とその母親、そして祖母が生きてきた「朝鮮」の女の歴史だ。
戦前、女性がどのように虐げられ、苦しんでいたか。
女性の解放、民族の解放を求める気運がどれだけ強かったか。
日本軍が去った後の「解放」を、朝鮮民族がどのように受け止めたのか。

これまでの「北朝鮮暴露本」にはなかった、ひとつの家族の歴史を語る本だ。
翻訳も優れており、隣国、朝鮮半島の人たちのことを知る上で、読んで良かったと思えるものだった。

最近なにかとマスコミを騒がしている北朝鮮がどのような国なのか内部に精通している人の手記と思って読んだ。それ以外にも北朝鮮の男女格差など北朝鮮の歴史などを知る上でも興味深いと思った。ただやはりというか彼女は側近の立場でどことなく自己自慢のような話もありそれもまた北朝鮮の実態であるのであろう。訳者の他の本も読んだが彼の他の本を読んだ後だったので読みやすかった。この本を通して北朝鮮の実態が見えたような気がする。