ゴヤの生きたスペイン近代史 狂乱怒濤の時代
★★★★★
堀田善衛のゴヤ・シリーズの4冊目、そして最高に成熟して到達した彼の画家としての、人間としての最後の時期。一冊目からここまで読み繋ぐには努力がいるが、本の中に出てくる画集の真実悲愴な絵、絵。ナポレオンは革命をもたらしたのか? それとも。 スペイン民衆の苦悩と戦う力。スペインの苦悩を画集に凝縮させたゴヤ。現代の共和国防衛戦争にいたるまで、ピカソのゲルニカにつながるその基盤がここにある。また、その何とも言えない表現の『黒い絵』についての堀田善衛の解説。是非ともマドリッドへゴヤの絵を見に行きたくなる本である。