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鮨を極める (The New Fifties)

価格: ¥1,498
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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店の「隅石」となっているような親方からの教えなどもシンプルだけど素晴らしい ★★★★☆
毎日の論説委員が鮨屋をめぐり、そこの主人の半生とともに、江戸前の技術、一日の過ごし方、一人前になるまでの道のりなど、鮨職人に焦点を絞って書いた本。まっとうな人生を歩み、まっとうな仕事を続ける人たち過ごす日常はありふれてはいるけれども、そのバックグラウンドは奥が深い。「すきやばし次郎」の小野二郎さんの子どもの頃の話なんか、9歳で料理屋の住み込み小僧に出されたというんですから。その後の軍隊経験も《あんな楽なところはなかった》と思うぐらいの辛酸をなめた日々という最初の章から圧倒されます。

 筆者が"思い描いてきた郊外の鮨屋"と評する「徳助」の原田昭徳さんの一日は5:20に起床して築地へ。7:30には仕入れを終え、8:30には尾山台の店に到着。11:50まで仕込みして、12:00-14:00が営業時間。14:00-15:30まで仕込みの続きを行い、それを終えて近所の珈琲店に。その後、16:00-17:00まで仮眠をとるのが楽しみといいます。さらに18:00-22:00まで夜の営業ですから、後片付けをして帰って寝るのは1:00過ぎという生活。それでも、毎月40万円の家賃ローンを払ってしまえば、親子四人が食べるのは精一杯。貯金などまだ出来ないそうですが、天職だと思っているからやっているとのこと。この本を読んで、行きたいな、と思ったのは、この「徳助」です。
鮨屋に興味が沸く本 ★★★★★
 普段行かない本屋でたまたま手に取った本。鮨屋のカウンターなど座ったこともない私でも、大変興味深く一気に読むことができました。
 鮨屋の話などは、そういうものなのか、と初めて知ることばかり。それらも面白いが、全く知らない鮨職人の様々な人生の話が、自分とは別世界であるからこそ大変楽しめた。そして、いつかこれらの店に鮨デビューを果たしたいと思ってしまいました。
 なお、本書では確かに話が脱線した箇所が多々あるが(著者の交友関係や、京都の鮨職人の項ではラグビーの話など)、私は逆にそれらがあったからこそ楽しく読めました。
こういう切り口があってもよい。 ★★★★☆
 鮨について、山本益博とは違った視点から書かれた一冊。すなわち鮨それ自体の仕事、評価ではなく、鮨職人の人生、経歴に的を絞った内容となっている。

 職人が苦労して修業してきたから鮨が美味くなる、というものでは決して無かろう。がしかし、これまで美味いと思っていた鮨に、鮨そのもの以外の新たな情報を教えられると、いっそう味わい深く感じるというのもまた事実である。私は「新橋鶴八」の頁は、涙無くしては読めなかった。

 興味深いのは著者がこのタイトルを気に入らず、最後まで「男たちはなぜ鮨屋になったのか」というものに固執していたのに対し、山本益博が出版予定していた「次郎本」のタイトルとして「鮨を極める」を考えており、先を越されて泣く泣く「至福のすし」に変更したというエピソード。両者のスタンス、センスの違いが垣間見えて面白い。

スシ職人という生き方を読む ★★★☆☆
16人のスシ職人を取り上げ、彼らがなぜ、どのようにしてこの仕事をするに至ったかを追った人物ノンフィクション。取材対象をスシ職人というひとつの職業に限定し、その中でさまざまな人生を並べるという仕組みがおもしろい。

ただ、登場するのは全員、高級店の職人ばかりである。それは著者が無類のスシ好きで、基本的には著者が客として気に入った職人たちだけを描いているからだ。誰にでも固有の人生があるとはいえ、彼らのストーリーには重なる部分も多く、後半は少々飽きた。グルメガイドブックとして読む者にはこれでいいのかもしれないが、大成功を収めた回転ズシの社長兼職人とか、邪道と呼ばれるようなスシを積極的につくっている職人とか、私としてはそんなバラエティがほしかった。

またスシ屋での客の振舞いはこうあるべきといった著者の信条や、本筋とは関係のない著名人たちと著者との交流話などがどうも鼻につき、もう一歩登場人物たちの人生に私は入っていけなかった。残念である。

鮨再発見 ★★★★★
鮨のガイド本は多々あれど、その人物像にスポットを当てた内容の本はあまりお目にかかれない。文章は無駄が無く、非常に重みが感じられて心に迫るものがある。鮨好きでなくても十分楽しめる力作。