続きが読みたい☆
★★★★☆
この本の舞台、救急医療センターには実際行った事があるのだがこんな歴史があるとうは知らなかった。正直な所、統合失調症を「分裂病」と記載してあるのには
なかなかなじむことができなかったが、その点をのぞけばわかりやすくまた
スピーディに話が展開していき今後の精神科の課題など知りたい事が満載の
満足いく書物であった。
ちゃんと取材しているなあと感じる一冊
★★★★★
ちゃんと取材しているなあと感じる一冊。精神科になじみのない方にも,なじみの深い方にも読み物として楽しめる。
千葉に立ち上げた,全国の先駆けとなった千葉の医療センター。統合失調症だけでなく,うつ病,ボーダーまでさまざまな患者が登場します。ノンフィクションの限界はありますが。
ちなみに,現在は全国各地の病院に精神科救急病棟は設置されており,関東でも24時間体制で稼働しております。
臨床心理学を学ぶものとして
★★★★★
私は、臨床心理学を専攻し学んでいますが、「ゆくゆくは医療系に進むぞ」と(自分ではよく考えたつもりで)考えていました。精神疾患の大変さ、またはそれに関わることの大変さも、この本を読むまでは「分かっているつもり」になっていたんだと恥ずかしく思いました。多くの方が「こんな世界があるとは知らなかった」とレビューで書かれているように、私たちには知る由もなかった世界がこの本の中にはあります。あまりに臨場感あふれるその世界に、初学者の私は研修医に自分を重ね、「自分ならこの時どう対応するだろう、どう感じるだろう」など、真剣に一人事例検討会を繰り広げました。心理の学生はなかなか現場を見る機会がありません。この本はそんな私たちの経験不足の一助になってくれるのではないかと思います。また、精神病の歴史や精神保健福祉法などの法律についての説明があり、臨床心理士試験において、下手な参考書を読むよりも、ずっと理解できて頭に入りやすいこと必至です。また、登場人物である先輩医師達の重みのある言葉は、臨床家として深く考えさせられるものでした。臨床心理を学ぶ方々、特に経験の浅い初学者の方に是非読んでいただきたい一冊です。
リアルな急性期の精神科の現状がわかります
★★★★★
この本は、千葉県精神科医療センターで3年間も取材されたものです。
精神科と聞くと、一般的には様々な偏見がありますが、精神病は病気であってその人本来のものではありません。
この本を読むと、医師と患者の奮闘、そして患者さん自身がどんなに苦しんでいるかがリアルに伝わってきます。
単なる興味で読まれた方は、内容の濃度やすさまじさに衝撃を受けると思います。そして、量のある本ですが、一気に読んでしまうと思います。
また、この本は第三者のライターからの視点だけでなく、看護師や医師からの視点から書かれている章もあります。
急性期の精神病の扱いの大変さが、さまざまの視点で描かれ、より精神科医療の苦渋が伝わります。
精神科医を目指している方は、ぜひ一読されることをおすすめします。
精神医療への警鐘
★★★★☆
おおまかな骨子は、日本で一つしかない精神救急センターを舞台としてルポ本と言って良いと思います。色々なケースを取り上げており、読んでいて節々に感じるのが他科と異なり心のケア、スキンケアを重視するという部分。否、正確に言うとこのセンターが重視しており、他の精神医療分野ではこれが長らく等閑にされ続けているというのを皮肉っている感もある。心を病むと様々なタイプがあると思う。感受性が強いが故に塞ぎこんでえしまうタイプ(対人恐怖など)と自暴自棄になって周りに当り散らすタイプなど。。精神病は大概対人関係から庄司がちだが、後者のタイプは個人的にはあまり共感できない。精神病患者は、傷つけられる痛みを知っているからこそだ。
その中でも危害を加える患者であっても、こちらの不手際という解釈で紳士に患者と向き合うべき。というセンターの姿勢に彼らの根性を感じた。
閉鎖病棟を中心として、精神医療の入院は多くが長期入院そして20年〜生涯入院というのも珍しく無いそうだ。これは日本独特の傾向だそうで、入院に限らず外来にしても症状を聞いてクスリを渡して、終了、入院ならクスリ漬けにして。。という悪習が強ち誤っていないというのを本書で紹介されている(もちろん同センターは例外としても)。
原因を一発で探れる外科手術等と違い、精神(心療)分野は、内層問題(元来の性格、数十年と蓄積された人生、生立ち等)故に一筋縄でいかないのは理解できるとしても、日進月歩の世の中に反比例するかのように、テクノ社会において精神を侵される人々は増加し、最後の砦として同機関を訪れるにも関わらず、保険、診療 入院点数稼ぎのために、話しを聞いてクスリを渡してハイ終了という選択肢ししかない日本の精神現状の滞りように辟易する事も読んで感じるだろう。
本書によって、医療でもスキンケアの重要性は説かれているが、同時に精神分野における利益性の追求や歪んだ法による対患者職員不足のジレンマも説かれている。
最も難治性の高い精神分野だけに、歯痒さも頻繁に感じた。
実用性は別問題としても同センターのような新進な試みが広がる事は、封建的古めかしい精神救済システムを打破するという意味で重要だと思う。