朋遠方より来る。
★★★★★
立花隆さんは、埴谷雄高さんのことを「人生の師」と語っておられます。この対談を読むとそのことがとても感じられます。埴谷さんも立花さんのことがとても好きな様子で、立花さんの著作からいろんな話が展開されていきます。「宇宙からの帰還 (中公文庫)」の宇宙飛行士に特に関心があるような印象です。お二人の対談は、朋遠方より来る、といった雰囲気でお互いひけをとらない膨大な知識を背景に縦横無尽に話題に尽きないような感じがいたしました。埴谷さんは、共産党員から獄中転向を行って、文学で常識に挑戦するという偉業を行った方です。その作品「死霊〈1〉 (講談社文芸文庫)」を巡って、存在と生についての埴谷さんの文学的思考実験の一端を垣間見れたことは厳粛な体験となりました。