植民地支配のため日本選手として走らざるを得なかった韓国人孫基禎、国民の期待に押し潰されて自殺した円谷幸吉の時代から、マラソンは自己実現の手段とする有森裕子、あるいはただ走ることが好きと言う高橋尚子の時代へ。「国や会社のため」ではなく「自分自身のため」が増えることは世の進歩だと著者は語る。その通りだと思う。
1970年代初めまでマラソンは女人禁制で、女子マラソンが正式種目となったのが1984年のロサンゼルスオリンピックという事実も、現在の女子マラソンの隆盛を考えると意外に思える。