そんな姿も息子から見るとこうなる。空襲の時「みんなカネを持ってよそに逃げようとする。カネが信じられない者はモノに換えた。しかし、土地を買うという発想はなかった。おやじは、逆に日本がダメになっても逃げないで都内の土地を買えるだけ買おう、と。製造業ではないのだから、土地を買っておけばなんでもできる、という考えでしょう」(p.126)。しかし、空襲で焼け出された人たちが広大な自宅に入ろうとするのを、いったん入られたら住み着かれてしまうと大変だといって追い出したりする。
実は西武のことはとっかかり。
メインの天皇制の問題については橋川文三の弟子らしくキッチリ分析している。
取材力や調査力はある程度評価できたとしても、ものごと(天皇制)の本質が見えていないという点では、猪瀬らしい駄本だ。