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ノーベル賞の決闘 (同時代ライブラリー)

価格: ¥230
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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馬の合わぬ二人 ★★★★★
 1977年のノーベル生理学・医学賞は、ロザリンド・ヤーロウ、ロジャー・ギヤマン、アンドルー・シャリーに贈られた。ギヤマンとシャリーの「先取争い」を追った本だ。

 二人の研究者が同じテーマの研究成果を争う場合、勝利、名誉、業績……これらすべては、先に論文や学会で成果を発表した人のものとなる。「早い者勝ち」が科学の常識だ。

 相手との駆け引きとなると、学会や雑誌での発表を温存して競争相手に情報を漏らさぬまま、ある日満を持してすべてを発表するといった戦法をとることもある。だがこの戦法はリスキーだ。発表を温存している間に競争相手に同じ成果を発表されてしまえば、なにもかもが水の泡に帰すのだから。「沈黙」か「開示」か。このふたつの間で揺れるギヤマンとシャリーのジリジリとした葛藤が伝わってくる。

 けれどもこの本はそれだけにとどまらない。「早い者勝ち」という科学界の常識を揺るがしかねない事実を示してくれる。

 シャリーは甲状腺刺激ホルモン放出因子という物質の構造の研究成果を、ギヤマンよりも先に論文にした。シャリーの勝ちだ。ところが、いくぶん社交的で筆も立つギヤマンは、巧みな宣伝活動によってそれがあたかも自分の研究成果であるかのような状況をつくり、対決を引き分けに持ち込んでしまったのだ。

 名誉欲やライバル心は科学者にもあるだろう(ギヤマンはそれを否定しているが)。けれどもこの二人に限っては、最初からまったく馬が合わなかったという一言に尽きる気がしてならない。

 さて、晴れのノーベル賞授賞式。けっきょく共同受賞となったこの二人は、目を合わすことはいっさいなかったという。性格の合わぬ人間の典型例をこの本は見事なまでに描ききっている。
ノーベル賞のためにお互い嫌がらせをしてまで戦う2人 ★★★★★
とにかく、凄い話である。
成功すればノーベル賞確実という生理学上の発見(インシュリンだったか?)を先んじて行うために、2人の学者がお互い嫌がらせをしてまで死闘を繰り広げる実話である。

 例えば、一方がほんの数ミリグラムの豚の脳下垂体を5トンも集めたため、アメリカだけでは足りなくなり、仕方なくもう一方は鶏でやったとか。学会ではお互いののしり合い、あまりひどいので政府が予算をしぶるとこまできたとか。

 あまり難しい学術上の話はなく、むしろ双方のそういう行きすぎたライバル意識をドキュメンタリーで描いており、楽しくもはらはらしながら読み進められる。
 さて、この話の結末はいかに。ノーベル賞は与えられるのですが、どちらがとるか、皮肉でちょっと空怖ろしくなる結末が待っています。