悩み多きスティング。
★★★★★
家族間のあまり冴えない秘密の物語を、
細部にわたってここまで語り明かしているスティングの意図はなんなんでしょう。
イギリス人は基本、正直者だとは知っていましたが・・・。
子供の頃のスティングの意識世界に潜入でき、
その家族風景に同化しながら、スティングの人間形成が1から追えます。
さんざん努力して成功してきたにも関わらず、
いまだ癒えない自らの内面世界の根っこを掘り起こし、
自己確認しているかの内容はスティングらしいです。
「孤独のメッセージ」で世界的に認知され、
ユングの学名からとった「シンクロニシティ」でアカデミー賞を受賞したスティングの、
十全な自己を探る道はこれからどこにつながっていくのでしょう・・・。
深層心理学的、神話学的な価値実現の可能性が見え隠れしています。
有名人の単なる私的な自伝なら山ほどありますが、
自分ひとりの個的な空間に固執することはスティングの意図ではないようです。
『私は自分の物語を記憶にとどめ続け、
その意味を計り知ろうとし続けなければならない。
私の物語の冴えない散文詩を、
卓越した詩か何かに生まれ変わらせなければならない。』
〜本文より〜
意味・・ああ、ね。
装丁は英語版に比べて、断然かっこ悪いです。
21世紀の真正の詩人の本にこんな配色とデザイン、やめて〜。
ホワイトレゲエの憂鬱
★★★★★
成功の裏には苦労の歴史があるの良い見本。
この世界的スターでさへ、辛酸を舐め続けた時代があったのかと驚きと同時に、このくらいの経験とセンスが必要なショウビズ界の底力を知った。
訳者の切れ味鋭い文体も、ロック界のスターを連想させ、秀逸の出来。
自叙伝は数多ありますが、本書は『フレディー・マーキュリー伝』と並ぶ傑作です。
意外と苦労人
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成功の裏には苦労の歴史があるの良い見本。この世界的スターでさへ、辛酸を舐め続けた時代があったのかと驚きと同時に、このくらいの経験とセンスが必要なショウビズ界の底力を知った。
訳者の切れ味鋭い文体も、ロック界のスターを連想させ、秀逸の出来。
自叙伝は数多ありますが、本書は『フレディー・マーキュリー伝』と並ぶ傑作です。
彼の音楽のバック・ボーンを垣間見る事が出来る
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少年期からポリス結成までの期間に焦点を当ててスティング自身が始めてペンを取った自伝です。彼の音楽は往々にしてプライベートに根ざしている。ある時は直接的に、そしてある時は比喩を用いてポップ・ナンバーとして見事に完成させている。これまでの代表作を振り返ると、圧倒的に比喩を用いたものが多いが、それはスティング独特のインテリジェンスなのだろう。そして彼の最大の魅力の一つでもある。更に言うならば、それらの比喩には彼のシャイネスも見て取れる。両親の死、結婚に離婚・・そして再婚。彼自身もインタビューで、<音楽活動をしている中で後悔している事が有るかい?>との問いに対して、<プライベートな事柄を歌にし過ぎた様に思う>と答えていた時期が有った。この本を読むと少年期、そして血気盛んな青年期を垣間見る事が出来ると同時に、楽曲の理解を更に深める事が出来るだろう。彼の楽曲は常に私生活の中から生まれ、そして彼の誠実さに裏打ちされているのだ・・・。