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スカル&ボーンズ―秘密クラブは権力への通路

価格: ¥223
カテゴリ: 単行本
ブランド: 成甲書房
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幽霊の正体観たり枯れ尾花 ★★★★★
アメリカの学生クラブのスカル&ボーンズについて、最も体系的にわかりやすくまとめられた本が、このロビンズ女史の著作であろう。ボーンズは、今年の米大統領選挙を期ににわかに脚光を集めたが、所謂陰謀論者の間では、長らく新世界秩序を推進するイルミナティの支部であるとか、悪の秘密結社として、その政治経済への影響力が喧伝されてきた。

しかし、著者の筆は極めてジャーナリスティックにこの秘密組織の姿を描き出している。彼女自身が、ボーンズのあるイェール大学の出身であり、ボーンズと似たクラブの出身である。、彼女の文章からは、アメリカの「学生クラブ」(フラタニティ、友愛会)はどのような存在なのかと言うことが日本人にも伝わってくる。

「どくろと骨」と言うことで、怪しげなものを感じるかもしれないが、そのネーミングは我々日本人に、クラブ名に「桜」とか「菊」とか使うようなものと大差ないと判る。文化の違いだ。19世紀には、それこそ多くの学生クラブがあり、現在もギリシャ語の頭文字を頂くクラブは多数ある。

著者が言うように、このようなエリートたちが集う秘密クラブは、その排他性ゆえに、メンバーの間の特権意識を生み出し、メンバーの間の「強い友情」を作り上げる。これが、大学を卒業してからも、OB会としての強固なネットワークとして機能するのだ。言ってみれば、ボーンズは大きいところでは、早大雄弁会と変わらない。ただし、ボーンズ利権のスケールは相当に大きい。

ちなみに、映画「キューティ・ブロンド」は、女子学生クラブ(ソロリティ)を舞台に、アメリカのコネ社会の実像を少しだけ描いている。著者は、ソロリティについての著作も書いている。今度は此方も邦訳で読みたいが無理だろう。

ただ、陰謀論を排除する彼女の著作が日本の名だたる陰謀論者である、太田龍氏によって紹介されるというのはなんとも皮肉である。