ついに祝家荘戦が始まります。聞煥章の画策に対して解珍、解宝親子ら孫立一族が仲間に加り、祝家荘内の罠の探索と攪乱を狙います。祝家荘の隣、李家荘の保正である李応の協力が勝敗を左右する様相で、聞煥章は王和を付けて内応対策を講じますが、李家の執事である杜興は中立と称し、武松と李逵を荘内に受け入れたりと、決戦に向けて思惑が交差します。
　大軍を引き付ける為に、負けているように見せかける秦明の采配はさすがですが、阮小五を失い一手に作戦を考える呉用は苦しみます。同士の死に冷静にはなれないようですが、宋江は敵の命も同等に思いを馳せます。そこが懐の深さの違いかもしれません。
　宿元景の五千騎との対決、決着へ向けての戦闘の描写は、ありありと情景が浮かぶほど迫力満点です。特にフィナーレを飾る楽和の歌声が、緊迫感を伴いながら、戦う男たちを鮮やかに引き立てます。
　本編とは別に鄭天寿の生い立ちは涙を誘います。現代でもまだまだ餓死する子供が多い現状に心が痛みます。
“食いものを、持って帰ってやる。兄ちゃん、やるだろう。”
やるせない気持ちになりました。

書き始めると止まらなくなりそうなので…
原典の『水滸伝』を凌駕した最高峰の中国史小説でした。
そして、読んだ全ての人それぞれに違った想いを抱かせる、枠に嵌らない作品だと思います。
一読の価値は間違い無しだと思います。

青蓮寺側が戦略的に仕掛けた祝家荘に対する梁山泊軍の戦い。
胸のすくような勝利。
梁山泊軍のさらなる快進撃を期待させる巻です。

敵方がこれまでになく精彩を欠きます。
李逵が李応を救うシーンも、李逵が強過ぎな気が。
強弱バランスに違和感がありますが、
解珍の話は趣きがあったので星四つで。

初めての大一番。
息詰まる駆け引きの中、官軍（青蓮寺）と梁山泊との激突が始まる。
隊長クラスをつぎつぎと失い、手詰まり感のあった梁山泊も
内応者の活躍によって、活路を見出し。。。。
ということで、手に汗握る青龍の章。