ライフ・アクアティック [DVD]
価格: ¥1,500
スティーブ・ズィスーの『ライフ・アクアティック』では、ウェス・アンダーソン監督がおなじみの俳優陣たちをストップモーション、しましまのカニ、虹色のタツノオトシゴがいるファンタジーな海の世界の旅へ連れ出す。レトロ・スペシャル特写や、個性的な色使いなど、今までとは傾倒が違う点も見られるが、ファンはなじみのある世界が楽しめるだろう。無我夢中なジャック・コクトータイプの映画監督ズィスー(ボブ・マーレイ)が、ジャックざめの餌食になった親友、コステバンの死を描いたドキュメント映画を発表するところから、本作は始まる。落ち目の人気や、支援金を独り占めしようとするジェフ・グールドブラムに悩むズィースに希望を与えたのは、ケンタッキーからやって来た気立てのよい少年、ネッド・プリントン(オーウェン・ウィルソン)だった。この少年、実はズィスーの息子である可能性があるという。最初は父親になることに乗り気でないズィスーだが、ネッドをやさしく迎える。ネッドはそのお返しとして、(ジャガーざめへの復讐を目論んだ)ズィースの新しいドキュメンタリーをいろんな面で救うことになる。ウェス・アンダーソンの功績のひとつは、中年をすぎて哀愁をおびてきたビル・マーレイのキャリアを1998年の『天才マックスの世界』をきっかけに、開花させたこと。マーレイのコメディタッチの演技は変わらないが、今までのような派手さはなく控えめ。残念ながら、ズィースのほかには奥行きのある役柄はほとんどなく、もう一人の主演ウィルソンでさえ、ネッド役を高貴な南部人以上には演じきれておらず、ズィスーの心情の変化に光をあてる役目ぐらいにしかなっていない。優れた作品としては記憶に残らないだろうが、アンダーソン(またはマーレイ)ファンには見逃せない映画ではある。(Leah Weathersby, Amazon.com)