ジェフリー(カイル・マクラクラン)は、急病で倒れた父を見舞った帰りの野原で、切り落とされた人間の耳を発見する。やがて、歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)が事件に関係しているらしいことを聞かされたジェフリーは彼女に接近し、その魅力の虜と化していくのだが…。
デヴィッド・リンチ監督がその不可思議な悪夢的映像センスを全面開花させ、その名を不動のものとしたシュルレアリズム的不条理サスペンス映画の秀作。全米映画批評家協会賞では作品賞など4部門を受賞、ほか世界各地の映画祭で絶賛された。
ヒロインの夫役で登場するデニス・ホッパーが大怪演を示し、エロティシズムとグロテスクのあいまった作品世界観を増幅させる。ボビー・ビントンの『ブルー・ベルベット』、ロイ・オ-ビソンの『夢の中に』など1960年代前半のヒット曲が効果的に使われている。(的田也寸志)
シュールな映像世界に魅せられる
★★★★☆
イザベラ・ロッセリーニの美しさが堪能できる作品。彼女は大女優、イングリッド・バーグマンの娘。バーグマンによく似た美貌で、トップモデルから女優へ転身、この映画がヒットしてその母親譲りの美貌が日本でも、物凄く話題になった。リンチ監督、ゲーリー・オールドマンなど数々の男性との恋愛遍歴でも知られた。
デニス・ホッパーの怪演も楽しめる。酸素吸入器で呼吸を整えながら、赤ん坊がボロ毛布に執着するように、ロッセリーニと青いベルベットの布に執着を示す男。
ミステリー作品であるが、ストーリーに驚愕するよりも、デヴィッド・リンチが描くシュールな映像世界と、紺碧のベルベットと対照的に白く輝くロッセリーニの美しさに惹かれた。
不思議なベルベットに包まれたサスペンスだ!
★★★★★
名曲ブルーベルベットのメロディが、映画の冒頭から幸福な気分を醸し出す。長閑なアメリカの田舎町ランバートンは、裏世界に一歩踏み込むと暗黒の倒錯した犯罪世界がまるで地底虫が巣食うように洞穴を形成していた。デニス・ホッパーが演じる異常な性癖男フランクの女にされた人妻を救おうと立ち上がる好青年のカイル・マクラクランが清々しい。恋人を巻き込みながら、ある夜興味本位の探偵好奇心で人妻の一肌を知ってから何故か男の正義感に目覚めていく姿は、徐々に薬吸入中毒の殺人鬼フランクを追い詰めていく。カメラワークが昼と夜、光と影、善と悪、無垢と熟錬、平凡と非凡、静寂と喧騒、ノーマルとアブノーマル、それらを単純且つ自然に対比させながらのストーリー展開とマクラクランの魅力で繋ぎ合せていくのでついつい引き込まれていく。タイトルバックや音楽センスもベルベットに包まれている様で、一部セリフのどぎつさもあるのに全体として品良く収まっている。ラストシーンでは、微笑ましくホットと出来る映画であった。
ヘンタイここに極まれり
★★★★★
いやぁ、素晴らしいですね。
リンチ監督はやっぱり基本がしっかりしてるから、わけわかんない映画を撮っても面白いんです。色、構図、音楽すべてが素晴らしい。
「イレイザー・ヘッド」とか「マルホランド・ドライブ」とか、その辺の作品と比べるとかなり分かりやすくて、とっつきやすいです。
これからリンチ作品を観てみようかな〜と思っている方にはオススメ!
それなりに楽しめます
★★★★☆
デビット・リンチに何を期待するかでこの作品の評価は変わるように思います。個人的には、リンチ作品の中でも、マルホランド・ドライブやロスト・ハイウエイのような時空がねじれまくったストーリーが好きなのですが、この作品はそうではありません。リンチの作品には、シュールな世界を表現しつつも時空のねじれなく、それなりに時間と空間がまっとうに進んでいく話があり、この作品はその部類に入ります。なので、私のような前者嗜好のファンからすると、それなりのリンチワールド感はあるものの、現実思考を超えたシュールさ加減には満足できず、悪く言えば中途半端な印象があります。しかし、それは逆に言えば、それなりにストーリーも追っかけやすい作品だということで、しかも強烈ではないにせよ、リンチワールドのムード感はありますので、特にリンチ初心者の方には比較的とっつき易い、それなりに存在価値のある作品だと思います。まあ、リンチが好きになるか嫌いになるかの指標的作品かもしれませんね。
映像感覚
★★★★★
エロティックな描写 美しい映像 この映画で思い出したのは「ピエロとアルカン」という絵だ ピエロは悪魔悪魔を陽気に描きしていることを残酷に描いている 今回の映画は正に「ピエロとアルカン」そのものであろう デ二スホッパーは悪魔だが陽気に描いかれている彼にとって暴力は普通の事その事がわかるシーンが主人公がホッパーに殴られるシーンだこの時に流れる曲は実に陽気だそれだけにこの映像がだんだん怖くなるこの映画は悪魔を描いた傑作だ