ロード・オブ・ザ・リング スペシャル・エクステンデッド・エディション トリロジーBOX セット [DVD]
価格: ¥31,752
ピーター・ジャクソン『ロード・オブ・ザ・リング スペシャル・エクステンデッド・エディション』は、映画史上最大のトリロジーをDVD史上最大の野心的なボックスセットで提供するものだ。映画化は不可能と言われたJ・R・R・トールキンの作品を形にしたジャクソン。成功の陰には、見事な特殊効果、インスピレーションに満ちたニュージーランドのロケ、はまり役揃いのキャスティングと様々な要素があるが、最大の要因はジャクソン自身がフラン・ウォルシュやフィリッパ・ボウエンと共同で作りあげた脚本だ。トールキンのビジョン、時には原作そのままの言葉を使いながらも、映画という媒体に適したもっともな変更をおこなっている。原作の熱心なファンはこうした変更や映画から省かれたキャラクターや場面があったことにケチをつけたが、エクステンデッド・エディションの2時間近くにおよぶ特典(つまりトータルで11時間近くになる)を見れば、そうしたファンも鎮まるだろう。トールキンの音楽、キャラクター、ストーリーの補足となる細部――ファラミアとデネソールの関係の説明や、モルドールの門に現れるサウロンの口など――をさらに掘りさげることができる特典だ。さらにエクステンデッド・エディションでは、トリロジーの各作品をつなぐさらなる素材も提供。1本の長い映画を3つに分けたものだと再確認できる(だからこそ本作は最強のトリロジーなのだ――関連の弱い部分など一切ない)。第1部に加えられた、ガラドリエルが旅の仲間に贈り物をする場面は物語全体における重要性を証明しているし、第2部の終わりに加えられたファラミアの新たな場面は第3部の設定を補強しているし、第3部の始めに加えられた新たなサウロンの場面は第2部のプロット完結に役立っている。
何にも増して、エクステンデッド・エディションは映画1作につき4枚のディスクを提供している計算になるのだ。長くなった映画本体のためにそれぞれ2枚。そしてコメンタリーと膨大なDTS 6.1サウンドに4枚。特典映像に2枚、脚本作りから特殊効果までありとあらゆるものを網羅した内容だ。特典映像がまったく異なるために、ファンは両方のバージョンを購入しなくてはならない問題も取り沙汰された。だが、劇場版はずっと劣るのでファンがあちらも必要となるのは、劇場で見た短いバージョンをどうしても見たい時だけだ(最後の『王の帰還』は11部門でオスカー獲得)。完全版『ロード・オブ・ザ・リング スペシャル・エクステンデッド・エディション トリロジーBOX セット』はDVDの新スタンダードとなる作品。3本の映画を束ね、トールキンの世界をさらに包括し一段と豊かな映画体験を提供してくれる。資料になるクオリティのホームシアター体験、気前のよい、知的で、圧倒的におもしろい特典付きだ。(David Horiuchi, Amazon.com)