トニー・レオンとアンディ・ラウの息づまる攻防で、香港映画の復活を見せた前作。このパート2は過去にさかのぼり、ふたりが過酷な運命に身を投じることになった経緯が描かれる。1作目の回想シーンで主人公たちを演じたショーン・ユーとエディソン・チャンがメインキャストに昇格。それぞれレオンとラウを連想させる表情で熱演している。一方、彼らのボスたちのドラマにも焦点が当てられ、1991年、中国返還以前の香港裏社会の壮絶な人間模様が浮き彫りになっていく。
1作目のパワーは落ちていない。むしろ加速している。警察と裏組織、双方の内部での確執や裏切り、密かな取引や愛のドラマが巧妙に絡んで緊張感を持続させ、突発的な衝撃シーンで圧倒。前作の演出力に、さらに磨きがかかったようだ。新たなキャストも魅力的で、マフィアの妻役カリーナ・ラウの妖艶さや、若きボス、フランシス・ンの知的でクールな悪の香りが秀逸。破滅へ向かっていく者たちは哀れだが、観ているこちらはゾクゾクとする興奮が味わえる。かつての日本のヤクザ映画が、香港で鮮やかに復活したようだ。(斉藤博昭)
2作目はこんなもの
★★☆☆☆
1991年、香港マフィアの大ボス、クワンが暗殺された。だが配下のボスのひとり、サムだけは造反を目論む4人のボスたちをよそに唯一静観を続ける。実はこの暗殺は、サムの出世を願う妻マリーが夫も知らぬ間に手下のラウへ命じたものだった。そんな彼女に叶わぬ恋心を抱くラウはやがて、サムによって警察学校へ送り込まれる。一方、組織犯罪課のウォン警部は、クワンの私生児であることが発覚して警察学校を退学処分になったヤンを組織へ潜入させることに。こうしてラウとヤンの2人は、92年、気づかぬうちに互いの人生を交差させていくのだった…。
前作とは違いさらに過去に遡り、二人がスパイになるまでの過程を描いています。前作がよかったので非常に期待していました。が、個人的には前作を凌ぐ面白さではなかったように思います。今回は闇社会、マフィアの社会の様子が細かく描かれています。警察との癒着も描かれていますが今回の作品は先が読めないスリリングな展開でありません。当然、過去に遡っているので結果はだれもが知っていると言えばそうなのですが・・・。
2作目はこんなもんです。
闇社会の深淵を覗く
★★★★★
警察とマフィアがそれぞれ相手方陣営に送り込んだ潜入者2人が壮絶な駆け引きを繰り広げたサスペンス・ドラマの続編。返還前夜の香港を舞台に、前作の主人公であるヤンとラウの灰色の青春が描かれる。いわば前日譚である。
前作は互いに知謀の限りを尽くすスリリングな頭脳戦、先の読めないジェットコースーター・ストーリーという趣が強かったが、本作は濃密な家族主義に貫かれた黒社会における過激な愛憎劇という要素が前面に押し出されており(画面の色調も暗い)、さながら『ゴッドファーザー』のよう。「香港版ゴッドファーザー」などと評される所以である。
前作では詳しく語られることのなかった2人の秘密の過去が明らかになり、彼等の人間像により深く陰影が寄り添う。ラウ役のエディソン・チャン、ヤン役のショーン・ユー、双方とも屈折した心境を良く表していた。ただ、やはり前作のアンディ・ラウ、トニー・レオンの風格には及ばない。まあエディソン・チャン、ショーン・ユーの青臭さもそれはそれで魅力ではあるが(ただヤンの笑顔が見られないのが残念)。
本作の主役は、むしろ前作の名脇役であったサムとウォンだろう。本作でのサムは組織の一幹部にすぎず、ウォンもまだ警部だった。この2人がハウという共通の強敵に立ち向かうために手を組むところが見物である。前作を観ている我々は、この2人の奇妙な友情がやがて破綻することを知っているから、余計に切ない。ラスト、マフィアにしては妙に愛嬌があって憎めなかったサムが残忍なボスとなるシーン、ウォンが「ターゲット」の写真を貼り替えるシーンは痺れる。
敵役のハウも良い。「インテリで家族思いで一見すると線の細い2代目なんだけど敵対者には容赦しない冷酷なボス」という人物造形は『ゴッドファーザー』のマイケル(アル・パチーノ)を意識したものと思われるが、抑制された演技ながら非常に存在感があった。ファミリー全員で集合写真を撮ったり、敵対者を一斉に暗殺したりと、『ゴッドファーザー』へのオマージュと相俟って、忘れがたい印象を残している。
マフィアの抗争劇の果てに 〜無間地獄に入る2人の序章
★★★★★
大ヒットの「インファナル・アフェア」の続編ということだが、設定はマフィアに潜入した警官と警察に潜入したマフィアの青年のかけだし時代。話の本筋は前作のような2人の駆け引きではなく香港マフィアの内部抗争と警察の犯罪捜査課の駆け引きが中心で、そこに彼がどのようにかかわってくるかが描かれている。前作のような展開を期待していると拍子抜けかもしれない。
しかし、前作でのボス(サム)がどのようにのし上がってきたかが(ボスの迫力の源が)わかると同時に警察に潜入するラウ(エディソン・チャン)とサムの妻との微妙な関係や香港を牛耳る新しいのボスのハウ(フランシス・ン)と異母兄弟であるがゆえに背負うヤン(ショーン・ユー)の堅気の世界に対する思いなど2人の因果がもつれ合うところはなかなか憎い演出。
そして、何といってもハウとやがて彼にとってかわるサム(エリック・ツァン)との駆け引きは命をかけた男の選択ともいえ凄みがあり、前作とは違った緊迫感が味わえる(サムはその後「俺は2度死んだ」と何度も語る)。
前作のようなフィルム・ノワール的なの雰囲気が充満する作品ではないが(どちらかというと仁義なき戦い)、人物描写を丁寧に行った抗争劇としては十分堪能できる作品に仕上がっている(ある意味、前作と同じ作法を取らなかったのが正解だったか)。
ところで、今回マフィアのボスを演じるフランシス・ンは「ザ・ミッション/非情の掟」でこの作品でもヤンの上司を演じるアンソニー・ウォンと競演している。「ザ・ミッション」では菅原文太ばりの眼光の鋭いヤクザな殺し屋を演じていたが、この作品では温和な感じの奥に冷徹さを秘める目でボスを好演しており、目で役を演じ分ける凄い俳優だとこの作品を観て思った。興味のある方は「ザ・ミッション/非情の掟」を観て比べてみても面白いかも。
1作目を凌ぐとは、すごい
★★★★★
だいたいにおいて、1作目を超える作品というのはほとんどない。
あるとすれば、切り口を完全に変えること。暴力などの描写のテンポをはやめたり大掛かりにするが、これは目くらまし。寅さんや黄門は予定調和なので、シリーズを評価するものではない。
その意味では、この2作目はすばらしい。内容的にも、緊張感も、前作以上。俳優の緊張感をよりクローズアップにしたところがいいのだろう。それに耐えれる演技力と内容があるということだ。
ただ、3作目はどうなのだろうと思うと、ちょっと暗澹たる気分で、見る気がしない。きっとだめレベルなのだと思っている。
フランシス・ン良いですね。
★★★★★
トニー・レオンとアンディ・ラウが演じてない2作目ですが、
フランシス・ンの存在感がやはり際立っています。
もともとかなり演技派の方だったのですね。彼のマフィアのボスとしての
クールな立ち回りは、かなりスタイリッシュ。
できれば、トニーとラウとフランシス・ンの競演も観たい気持ちにもなりました。
脚本的には、1作目では挿入できないおのおのの過去から追っていくストーリーですが、
十分に楽しめます。
この2作目はレンタルで2回見て、これは購入しても損はないな。と感じました。
ボーナストラックの俳優のインタビューでフランシス・ンがなかったのが残念でした。
ちょっとゴット・ファーザーを感じさせるような、
マフィアのファミリーの結束感がよく描かれています。
まああまり踏み込んでしまうと別のシリーズの映画として完結しそうなので
抑え目でこれぐらいの脚本がベターなんでしょうか。
個人的には、購入して損はありませんでした。1作目同様にお勧めです。