それはともかく、 超人としてのスパイダーマンの最大の特徴は、 空中にとどまることのできない抛物線の動きにある。この映画では精神的スランプから「糸」を出せなくなり垂直に落下したりもするが(唯一の武器である「糸」は、ほぼ落下をくいとめるためのものでしかない)、このヒーローに圧倒的な美しさを与えているのは、複数の糸によって軌道をずらされた、予測しがたい抛物線の攻撃にほかならない。観客は空中ブランコを見つめるのと同じスリルを味わっている。