カットされてしまった名シーンが惜しい
★★★☆☆
2008年のツール・ド・フランスは、2006年から続くドーピング問題を引きずった年でした。
そんな残念なニュースはあっても、しかし熱く輝いている選手たちがいた。それをDVDで観たくて購入したのだが、レース中の映像は総合優勝・ステージ優勝争い、落車に集中してしまっているのが残念でならなりません。時間の都合があるのは分かりますが、ツールの面白さの一つである、選手ごとに目的がありその為に全力で走っている、という点が欠けてしまったのが惜しまれます。中には、第8ステージでステージ優勝を決定づけたLLサンチェスのバイクすら突き放す程のダウンヒルが丸々カットされるというような、なぜカットされたのか理解に苦しむシーンすらありました。
悪い点ばかり挙げてしまったが善い点もあります。まず、今中大介氏、栗村修氏、Sascha氏の解説はDVD用に収録し直さています。この選手はなぜこのような走りをしたのか、何を狙っているのかという戦略を踏まえた解説がされ、ツール観戦をより面白くしてくれました。ツールの舞台裏等の紹介がなされているのもよかったです。今まで熱狂しすぎて選手の邪魔だ、とだけ思っていた観客がどれ程の労力を払ってそこにいるのかということについてもスポットがあてられ、その気持ちもいくらか分かりました。
残念な点はありますが、ツールをより面白くしてくれる1枚には間違いないでしょう。