この曲は、たまらなく魅力的なリズム感覚に、独創的なヴォーカル、ループし続けるファジーでルーズな抑揚感をうまく盛りこんだもの。皆が踊っているのを横目で見てばかりの恥ずかしがり屋さんたちも、思わずダンス・フロアに出て行きたくなることうけあいだ。その影響力は絶大で、これ以上のエレクトロニカをつくり出すことはまず無理と主張する者もいたほど。その意見には議論の余地もあるが、「Born Slippy」がエレクトロニック・ミュージックの影響をあらゆる分野に渡り天文学的といっていい規模にまで広めたことによって、初めて「エレクトロニカ」というジャンル・コンセプトが確立したという点は認識しておいてよい。実際、この曲はすでに古典的名曲となっている。(Matthew Cooke, Amazon.com)