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Macbeth [DVD]

価格: ¥598
カテゴリ: DVD
ブランド: Columbia Pictures
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A ruthlessly ambitious Scottish lord siezes the throne with the help of his scheming wife and a trio of witches. Director: Roman Polanski Writers: William Shakespeare (play), Roman Polanski, 1 more credit » Stars: Jon Finch, Francesca Annis, Martin Shaw | See full cast and crew »
採点はワイド版の米国版DVDによるものです ★★★★★
ポランスキー夫人の美人女優シャロン・テート(ポランスキーの「吸血鬼」で主演)は1969年、カルト・ヒッピー集団のマンソン一族に自宅で惨殺される。このとき夫人は身ごもっていて、惨殺現場には胎児の死体が散乱するという悲惨な状況だったと伝えられている(有名なマンソン事件)。事件後にポランスキーが初めてメガホンを取ったこの映画は、この悲惨な状況の記憶を留めんとするかのように全編、血塗られたイメージで塗り固められた前代未聞のシェークスピア映画となった。腹を切り裂いて取り出される赤子、斧が背中に突き刺さったまま歩く宿敵、しまいには転げ落ちた生首からの視点のショット等々の凄まじいシーンが連続する。ホラーばやりの現在からはたいしたことはないと思われるだろうが、当時としては従来の暴力場面規制を覆すものだった。可能にしたのはシェークスピア劇という芸術的後ろ盾があったから。英国プログレッシブ・トラッド・グループのサード・イヤー・バンドが手掛けた音楽も斬新きわまりなく、ワイドスクリーンをフル生かした撮影も素晴らしいのひと言。従ってトリミングしたVHS版は完全にペケ、この採点は高画質のワイド版・米国DVDによるもの。ソニー・ピクチャーズさんには早期に日本版DVDの発売を切に願うものである。
マクベス以降 ★★★★★
 十一世紀、スコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の予言を信じ、自分の主人であるダンカン王を殺し、スコットランド王になる。さらには、もう一人の武将バンクオーの子孫が王になるとの魔女らの最後の予言を覆すため、バンクオーと息子の殺害を企てるが、息子は取り逃がしてしまう。ダンカン王の血に染まった自らの手、殺戮、バンクオーの亡霊、魔女らの見せる幻影、繰り返される殺戮、マクベスの心は冒されていく。

 シェイクスピアの原作ではマクベスの死後、ダンカンの息子マルカムがスコットランド王になるところで終わっている。しかし、この映画では新マルカム王の弟のドナルベインが魔女の住む荒野に現れ、魔女の住処に入ろうとするところで終わる。そういえば、魔女らの桊??後の予言すなわちマクベスが殺した武将バンクオーの子孫が王になることは未だ実現していない。ドナルベインの魔女らへの接近はこれからも続く殺戮の歴史を暗示しているのではないだろうか。また、このドナルベインの足が不自由で引きずりながら歩く姿はシェイクスピアのもう一つの悲劇「リチャード三世」の主人公グロスタを連想させる。グロスタが冒頭で以下のように独白している、 “And that so lamely and unfashionable that dogs bark at me as I halt by them”「なにしろ片脚が短くて不恰好だから、よたよた歩いていると犬が吠えかかる。」

もっともマクベスとリチャ-ド三世では四世紀ほども時期がはなれているため、勿論ドナルベイド=グロスタではない。
ロマン・ポランスキー監督はこれからも繰り返されるマクベス同様に醜い王位略奪者の出現と暗黒の歴史を暗示しているように思う。