ラスカルにとって不利なのは、イギリス的なサウンドであることと、アメリカのリスナーは外来のアーティストよりも地元のアーティストのフロウを好むらしいという事実だ。そのうえ、エレクトロが脈打つサウンドがアルバムの大部分を占め、トリック・ダディよりトリッキーに近い。だがそうは言うものの、本作は底知れないエネルギーを放っていて、ラスカルの情熱を肌で感じさせてくれる。「Jus' a Rascal」はリル・ジョンを得意がらせるほどゴキゲンで、「Live O」は海底を進むかのような優美さでよどみなく滑らかに動く。ラスカルがすぐさまヒットチャートで50セントを蹴落とすことはないだろうが、このデビュー作はラップ界の勢力図が変わりつつあるかもしれないことを高らかに宣言している。(Oliver Wang, Amazon.com)