若々しいグルベローヴァ
★★★★★
小さい子どものピアノ用小品で、時々「ヘンゼルとグレーテル」の曲のモチーフが出て来たり、間奏曲をオルガン演奏で聞く機会があったりして何かと気になる作品ではあった。
どう考えても楽しそうな作品! 確かに子どもも一緒に楽しめることだろう。
初めて鑑賞したオペラの『ヘンゼルとグレーテル』は、グリム童話の原作はどうだったっけ?と振り返りつつのひとときとなった。オペラでは継母ではなく実母であったり(そちらがオリジナルらしい)、お菓子の家のシーンが思ったよりも長くはなかったり。そして子どもさんびか『お星が光る』にそっくりな民謡風メロディも登場。
お菓子の家の前に立ち並んでいた大きなジンジャーマンのようなクッキーは実は魔法にかけられた子どもたちだった・・など、原作とは違うであろう解釈も楽しめた。
作品の楽しさとは別に、いわゆる庶民の貧しい生活がうかがい知れる。日本で言えば『おしん』や『楢山節考』にも同様な生活が描かれている、毎日どんなに働いても日々の生活や食料に事欠く暮らし・・。止むにやまれず親や子どもたちを口減らしのために見捨てざるを得なかったのは、万国共通であったのかもしれない。
それにしてもグレーテル役のグルベローヴァの若々しいこと! 収録年には30代後半であったはずなのに、かわいらしいグレーテルそのものなのだ。今春グルベローヴァの東京でのリサイタルに出かけた知人は「顔はおばあちゃんなのだけれど、声はしっかり娘でした。もう神の域でした!」と大絶賛。グルベローヴァの他作品もまだまだ観なきゃね♪ 指揮はショルティとウィーンフィル。お父さん役はヘルマン・プライ。