舞台は文句なしに良い。しかし・・・。
★★★★☆
昔、BS2で夜中にやっていたこの舞台が忘れられずに、DVDを購入した。
DVD版は、時折デジタルの粗さが気になる時があるものの、長いので見たい場面だけを取り出して見るのには、便利。
この舞台のすばらしさは、前の方が書いてくださっているのに異論がないので譲ることにする。
星5つにしようかと思った。
しかし・・・テレビ放映されたときに私が感動した、アンコールの場面がカットされてしまっている。それが残念で星を一つ減らした。
舞台では、出演者が勢ぞろいしたところで、3人のヒロインに大きな花束が渡された。すると、アントニナのコトルバスが、花束から花を一本折って、ドミンゴに渡したのだ。
彼女の人柄が出ていて、感動した舞台の魅力は、演技だけでなく、こういうところにも、あるのではないか。。…のに、DVDには、その場面がない。
たぶん、テレビでも、ライブではなくて、録画された「映像作品」の放映だったので、マスターテープには、収録されているだろうはずなのに。残念だった。
このオペラを満喫できる名盤。
★★★★★
とにかくドミンゴのタイトル・ロールがいい。
まだ若い頃で、声も瑞々しくてよく伸びる。
ドミンゴは英雄役やくより人間らしい役柄がよくあっていると思うが、
このホフマンはまさにはまり役といった感じ。
欲を言うなら、ヴェネツィアの幕でもう少し見た目スマートであって欲しかった。
まるで太ったプレスリーのようだった。
コッペリア役のセッラは、ちょっと薹が立った感じで、
歌はうまいが、もう少し潤いがあってもよいかと思う。
ヴェネツィアの幕は、ジュリエッタ役のバルツァは満点に近い5重丸。
妖艶な役をよく歌いこなしている。魔女っぽい顔つきもこの役には似つかわしい。
演出や美術も本当に退廃的でヴェネツィアのイメージがよく出ていて、
特に幕開けのデュエット中など、よく舞台でこんなことをしているものだと思うほど。
3つのエピソードの中では一番いいできだと思う。
アントニアの幕もかなり力が入っている。
タイトル・ロールのコトルバシュは、もう迫真の歌唱と演技。
とってもうまいし、心から感動してしまう。
この幕も緊張が続いて素晴らしい。
エピローグも観ていて面白い仕上げになっている。
このオペラでは、文句なしに楽しめる1組だと思う。