それなりに顔を知られたヤクザの竜二(金子正次)は、ある日妻子のためにカタギになる決心をする。しかし、マイホームの平穏な暮らしは、やはり彼にとって物足りなくて…。
スターになることを夢見て本作の脚本を記し(鈴木明夫名義)、念願の映画初主演を果たしつつも、作品完成直後にガンでこの世を去った伝説の映画人・金子正次の熱意に満ちた秀作。ヤクザとマイホームという一見不似合いな世界のマッチングは当時じつに新鮮で、その後のマイホーム・ヤクザ映画の台頭を予感させるものがあった。
萩原健一の熱唱する主題歌『ららばい』がいつまでも耳に焼き付き、安住した世界に入られない男の哀しみを浮き彫りにしていく。監督の川島透はこれがデビュー作で、続いて金子脚本をもとにした『チ・ン・ピ・ラ』を監督した。(的田也寸志)
自分らしく生きるとは、本当の幸せとは
★★★★★
この映画は、ただのヤクザ映画ではない。
真剣に生きている人間が、生きていく上でぶつかってしまうテーマを真っ直ぐに描いている。
「自分らしく生きるとは何か」「本当の幸せとは何か」
自分を見失いそうになった時に、観るべき映画だ。
それと、映像作品としても優れていると思う。
映像でドラマを描いている。
映画監督や脚本家を目指している人には、とても勉強になる作品。
竜二という男の生き様
★★★★★
冒頭から緊迫したシーンが続く。やくざが、やくざらしかった時代の映画だ。初めて観たのは高校生の頃だが今、改めて観ると、竜二という人間が理解できるような分からないような。
やくざから足を洗い厳しい現実に直面する時の気持ちは一般人の俺にも、よく分かる。ともあれ金子正次という男が命を懸け作り上げた作品に男は胸を打たれる。
そしてラストシーンで竜二が街の中へ消えていく時、萩原健一の(ララバイ)が更に男の生き様を演出する。とても竜二のようには生きられないが男としては真似できないからこそ、ある意味、憧れるのだ。
渋いよね...
★★★★★
旧友と飲んでる時、私が高校の卒業アルバムに「花の都に憧れて飛んで...」と使わせていただいた事が話題になり、懐かしく早速持っていたビデオを見ると、かなり劣化しておりDVDを購入しました。すべてのセリフにオリジナリティがあり、竜二が新宿を肩で風を切って歩く姿、背中を丸めて歩く姿、歩く描写だけでも素晴らしい。竜二の弱気で半端な気持ちも伝わってきます。この映画のカッコいい部分のいいとこ取りの長渕と比べるのもおこがましい。刹那さと本物の男の哀愁を感じることができます。
NO.179「り」のつく元気になった邦画2
★★★★☆
<元気コメント>
家族と暮らすごくありふれた生活の中で感じる暖かい思い。
だが、抜けようとしても抜けきれない時、それはほろ苦い思い出となる。
永島暎子もよかです。
★★★★★
夕刻の商店街。買い物カゴを下げて娘の手を引きコロッケを待つ幸せな主婦。
遠くに、白い背広で固めてトランクを手にする竜二と目が合う。
飛行機の轟音。これでよかったんだわ・・・・無言の涙とともに別れ。
ショーケンの歌が入る。
男がオトコであり続けること。これは、ヤクザだけではない。銀行員
でも小学校の先生でも良いんだ。俺はお前のためにあるんじゃぁナイ。
甘い感傷で生きていけるわけじゃない。
20代の若者に是非見て欲しい、後期青春映画。
俺は、コレを見てから、バーゲンセールに並ばなくなった。
タバコは天井を見て吸うようになった。
長生きしたいと願わなくなった。
こんなカッコイイ役者、もう2度と現れないだろう。
こんなにせつないラスト、誰にも真似できないだろう。