1970年代後期から80年代初期にかけてのロックシーンのパンク／ニューウェーヴ・ブームは、当時ロックに変化がなく行き詰まっていることに、うんざりし不満を持った普通の人たちが生み出した、真のムーヴメントだ。その結果生まれた音楽には、皮肉なことにただ単に50～60年代に逆戻りして、当時の音楽のエッセンスをそのまま取り込んだだけのものもあった。

   しかしその中でブライアン・セッツァー、リー・ロッカー、スリム・ジム・ファントムの3人組ストレイ・キャッツほど、それを極端にやってのけたバンドはわずかだ。彼らはロングアイランド州という思いがけない場所から現れた、もっともポピュラーなロカビリー・リバイバル・バンドである。

   このアルバムには、ストレイ・キャッツの短い全盛期と、カール・パーキンス、エディ・コクラン、ジーン・ヴィンセントの忠実な模倣ともいえる演奏が記録されている。燃えるような見事なギターリックに比べると、ヴォーカルが劣る箇所も見られるが、ロカビリーの伝道師セッツァーはその欠点をロカビリーとその父たちへの熱愛で補っている。全ヒット曲のほか、未発表カットやレアな曲、そしてストレイ・キャッツのライヴの魅力を伝える1982年の放送の一部を収録。もしもあなたがこのアルバムで50年代オリジナルのロカビリーが聴きたくなったなら、それこそセッツァーたちの本望だろう。（Jerry McCulley, Amazon.com）