Metal Fatigue
価格: ¥2,073
アラン・ホールズワースはジャズとロックの中間に位置するスタンスがかなり微妙だ。1976年録音の初リーダー作はジャズのCTIレーベルから発売されたので、ジャズ・ギタリストとして扱われたが、その後82年発表の『i.o.u.』以降はロック色を強めた。そのため、ジャズ・ファンよりもロック・ファンにより親しまれている。これは83年発表の『ロード・ゲームズ』に続く作品で、発表は85年。ロック色を強めていた時代の作品なので、分類すればロック・アルバムということになる。前半の4曲はジミー・ジョンソン(ベース)&チャド・ワッカーマン(ドラムス)とのトリオにポール・ウィリアムスのヴォーカルを加えた編成。タイトル曲に聴かれるパワフルなロック・ギターがなんといっても快感だ。5曲目はキーボードのアラン・パスカを加えた編成で、その後のシンタックス(ギター・シンセ)を予感させるサウンド。コードワークとヴォイシングに独自の境地を聴かせるホールズワースの代表作であり、こういうオリジナルな演奏に接するとジャンル分けが虚しく感じられる。(市川正二)