デルタ・グッドレムのデビュー・アルバム『Innocent Eyes』は、長寿テレビ・ドラマ「Neighbours」出身のスターにしてはシリアスな内容だ。パッケージばかりが美しい製品がエリンズバラ(『Neighbours』の舞台となる町)のポップ工場からまた生まれた、という見られ方をそれだけ嫌っているということだろう。デルタはニーナ・タッカー(『Neighbours』での役名)ではないと世間にアピールすべく、PRチームは、彼女がドラマに出演する2年前にソニー・オーストラリアと契約していたことや、本作の大部分のトラックで曲づくりに参加していることをしきりと強調する。こうして「本格派」にこだわった結果が、ピアノとオーケストラによるトラックがひたすら続くバランスの悪い構成というわけだ。おかげで、いくつかのトラックがもっている輝きと複雑さを感じ取るためには、何曲か通して聴かなければならない。それでもデルタの歌声は、最初からまぶしいほどの光を放っている。
ベスト・トラックは、ゲイリー・バーロウ、エリオット・ケネディ(ノーザン・スターの名でも知られる)と共につくりあげた簡潔な2曲、すなわち「Butterfly」と「My Big Mistake」だ。また、ロックな「Throw It Away」では伝説的なソングライターであるキャシー・デニスが参加している。自伝的な内容のタイトル・トラック「Innocent Eyes」は初期のトーリ・エイモスを思わせるサウンド。色っぽいカントリー・ガールという感じのデルタと比べられては、「Cornflake Girl」ことエイモスが迷惑がるかもしれないが。それから、アイルランドの人気ポップ・グループ2組の影響もうかがえる――「Predictable」ではクランベリーズ、「Running Away」ではコアーズだ。(John Galilee, Amazon.co.uk)