『When the Moon Waxes Red』(邦題『月が赤く満ちる時』)は、タブーに触れまいとする姿勢が見られる、あまりにも単純な従来の分析を補足する目的で書かれている。それぞれの文化にはそれぞれ異なるものの見方があるのだという主張には、新しいジェンダーポリティクスが、現実をイデオロギー的に分析するのにとどまらず、現実を変革できるようにという著者の思いが込められている。常に新しい見解が登場し続ける一方で、昔ながらの誤りがまかりとおっているジェンダーポリティクスの概念を再考することで、著者はこの分野の権威者に対抗している。
著者トリン・T・ミンハは、カリフォルニア大学バークレー校女性学教授、サンフランシスコ州立大学映画学助教授。『Surname Viet Given Name Nam』(邦題『姓はヴェト、名はナム』)などの映画作品や、『Women, Native, Other』(邦題『女性・ネイティヴ・他者』)、共同編集した近著『Out There: Marginalization in Contemporary Cultures』などの出版物を発表している。